2011年 4月18日の新作昔話
いたずらを白状させる方法
和尚と小僧の笑い話
むかしむかし、ある山寺に、和尚さんととんちのきく小僧さんがいました。
ある日の事、お寺の白壁にらくがきを見つけた和尚さんが、近くで遊んでいた村の子どもたちに怒鳴りつけました。
「コラッ! いつもあれほど言っておるのに、なぜ白壁にらくがきをするんじゃ! らくがきをしたのは、誰だ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
子どもたちはお互いの顔を見るだけで、誰も名乗り出ようとはしませんでした。
それから数日後、和尚さんと小僧さんがせっかくらくがきを消した白壁に、また村の子どもの誰かが落書きをしたのです。
怒った和尚さんは近くで遊んでいた子どもたちを集めると、また怒鳴りつけようとしました。
すると小僧さんが、あわててやってきて、
「和尚さま、いくら怒鳴りつけても、子どもたちは白状しませんよ。ここはわたしに、まかせてください」
と、言い、ニコニコ顔で子どもたちにこう言ったのです。
「このらくがきは、らくがきにしては上手に書けているな。
前回といい、今回といい、これはなかなかの腕前だ。
こんなに上手ならくがきを書いたのは、一体誰だろう?」
すると子どもの一人が、得意そうに手をあげて言いました。
「はい。この前も今回も、らくがきを書いたのはおいらです」
おしまい
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