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2011年 11月30日の新作昔話

病気を治す地蔵さん

病気を治す地蔵
東京都の民話

 むかしむかし、江戸のある町に、人の背丈よりも大きなお地蔵さんがありました。
 このお地蔵さんには不思議な力があり、おできや、やけどをした人がお参りに行くと、お地蔵さんは自分の体の同じところに、やけどやおできをあらわして治してくれるというのです。

 ある日の事、顔の左のほっぺたがスイカの様にはれあがった大工さんが、お地蔵さんの話を聞いてやってきました。
 大工さんのほっぺたは、町の色々な医者に診てもらっても治らず、口もきけないほどの痛みに苦しんで、このお地蔵さんにすがりにきたのです。
「お地蔵さま、どうかお助けください。このままでは死を覚悟して、顔の半分を切り落とすしかありません」
 大工さんが一生懸命お祈りをすると、ほんの少し、痛みが引いたような気がします。
 それから次の日も、またその次の日も、大工さんは熱心に手を合わせました。
 そして、八日目の事です。
 大工さんがふと、お地蔵さんの顔を下から見あげると、お地蔵さんの左のほっぺたが大きくはれあがっていて、とても痛そうな顔をしているではありませんか。
 大工さんは、思わず自分のほっぺたに手をあてました。
「・・・あれ?」
 驚いた事に、スイカの様に大きかったほっぺたのはれが、すっかりなくなっているではありませんか。
 もちろん、痛みもありません。
 大工さんはおどろいて、もう一度地蔵さんの顔を見あげました。
 すると地蔵さんの左のほっぺたは元に戻っていて、いつものように細い目で微笑んでいました。
「お地蔵さま、ありがとうございます!」

 その後、大工さんのほっぺたは二度とはれる事がなかったそうです。

おしまい

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