2013年 12月23日の新作昔話
フランドロの石
ギリシアの昔話
むかしむかし、ギリシアのある島に、フランドロという美しい娘がいました。
フランドロは美しい上に家柄も良かったので、大勢の金持ちや貴族たちから次々と結婚を申し込まれました。
けれどフランドロは、いつも結婚を断るのでした。
「わたしには、心に決めた人がいますから」
実はフランドロの好きな人は若い船長で、船長が航海を終えて島に帰って来ると、フランドロはいつも話をせがみました。
「海のお話しをしてくださいな」
すると船長は、島の様に大きなクジラ、人間をまどわす人魚たち、嵐の夜に現れる幽霊船など、不思議な話をいくつも聞かせてくれるのでした。
やがてフランドロの恋が叶って、二人は結婚をしました。
でも船長は結婚式が終わると新しい船の船長になって、すぐに海へ出る事になりました。
「わたしたち、結婚したばかりですよ。せめて、もう少し家にいてくださいな」
しかし船長の目は、フランドロよりも新しい船の方を向いていました。
(この人は、本当に海が好きなんだわ)
フランドロは仕方なく、海へ出る夫を見送りました。
それからしばらくしたある日、フランドロの夫が乗っている船が嵐で沈没してしまったとの知らせが届いたのです。
「可哀想に。まだ結婚したばかりというのに」
人々はフランドロをなぐさめましたが、フランドロは涙を拭くと言いました。
「いいえ、あの人は死んでいません。きっと帰ってきます」
それからフランドロは毎日海岸に行っては、夫の帰りを待ち続けました。
「神さま、どうかあの人が戻りますように」
でも、夫は帰ってきません。
やがてフランドロは悲しみのあまり病気になりましたが、でも頑張って毎日海岸にやって来ました。
それから三年が過ぎたある日、フランドロは神さまにこんなお願いをしたのです。
「神さま。
わたしはそれほど、長くは生きられません。
お願いです、どうかわたしを石にしてください。
わたしがいつまでも、夫を待ち続ける事が出来るように」
そのフランドロの願いが、神さまに届きました。
フランドロは海岸に立ちつくしたまま、人の形をした石になったのです。
その後、この話を哀れに思った船乗りのお母さんが、フランドロの石のそばにマリアさまのお堂を建てました。
そしてフランドロの石は、船の航海を祈る船乗りの家族たちの祈りの場になりました。
おしまい
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