4月3日の世界の昔話
ラプンツェル
グリム童話 →詳細
むかしむかし、あるおかみさんが、どうしても家の裏の畑のレタスが食べたくなりました。
でも、そのレタスは魔女(まじょ)の畑の物です。
主人はお腹に赤ちゃんのいるおかみさんのために、魔女の畑に入り込みました。
けれども、レタスを取ろうとしていたところを魔女に見つかってしまったのです。
主人から話を聞いた魔女は、言いました。
「なんだい、そんなことか。いいよ、レタスはいくらでもお取り、でもそのかわり、うまれてくる子どもはわたしがもらうよ」
「いや、そんなことは・・・」
「いいね! 子どもはわたしがもらうよ!」
そして魔女は、うまれた女の子を連れ去ってしまったのです。
魔女は女の子に『ラプンツェル』と名前を付けて、階段もドアもない、高い塔に閉じこめて育てました。
時は流れ、ラプンツェルは美しい娘に育ちました。
「ラプンツェル、ラプンツェル、おまえの髪をたらしておくれ」
と、魔女が塔の下からよびかけると、ラプンツェルは黄金をあんだような美しい長い髪をたらします。
すると魔女は、その髪をつたって塔にのぼるのでした。
ある日、塔の前を1人の王子が通りかかり、その様子を見ていました。
次の夜、王子は塔の下でよびかけました。
「ラプンツェル、ラプンツェル、おまえの髪を垂らしておくれ」
たれ下がってきた髪につかまって、王子は塔の上にのぼりました。
のぼってきたのが魔女ではなく男の人だったので、ラプンツェルはビックリ。
「キャア、あなたはだあれ?」
王子はラプンツェルを見て、すぐに好きになりました。
「どうか怖がらないで。お願いです、ぼくと結婚してください」
ラプンツェルも、美しい王子を好きになりました。
それから王子は毎晩、塔の上に登っていきました。
それに気がついた魔女は怒って、ラプンツェルの長い髪を切ると、遠い荒れ野にすててしまいました。
その夜、王子がやってくると、魔女はラプンツェルのふりをして、切った髪をたらしました。
そして、何も知らずに登ってきた王子にいったのです。
「残念だったね。あの娘はもういないよ。遠い荒れ野にすててしまったから、もう死んでしまったんじゃないのかね。ヒッヒヒヒヒ」
「そんな・・・」
王子は悲しみのあまり、塔から飛び降りてしまいました。
そしてそのとき、地面にあったイバラが目にささり、王子の目は見えなくなってしまったのです。
「目も見えず、ラプンツェルもいない。いっそ、死んでしまおうか。・・・いや、ラプンツェルは死んだとはかぎらない。探しに行こう!」
それから王子はラプンツェルを探して、何年も何年もさまよいました。
そしてある日、荒れ野にやってくると、とてもなつかしい声が聞こえてきました。
「あの声は、ラプンツェルだ。ラプンツェル!」
とうとう、王子はラプンツェルを見つけたのです。
「ああ、王子さま!」
ラプンツェルと王子は、しっかりと抱き合いました。
そしてラプンツェルの涙が王子の目にふりかかると、不思議なことに王子の目は、元通りになおってしまったのです。
王子はラプンツェルを自分の国に連れて帰り、そしておおぜいの人々に祝福(しゅくふく)されながら、二人は結婚式をあげたのです。
おしまい
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