きょうの世界昔話
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4月9日の世界の昔話

ウサギのしっぽ

ウサギのしっぽ
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 むかしむかし、ウサギがオオカミにいいました。
「これからいっしょに、バターをつくってみないか?」
「いいね。よし、いっしょにバターをつくろう」
 それでさっそく、ウシたちからたくさんのミルクをもらってきました。
 そしてそれをツボにいれ、グルグルかきまわしてかためると、バターのできあがりです。
「さあ、さっそくこれをたべてみよう」
 ウサギがそう言うと、オオカミが首をよこにふりました。
「いやいや、これはさむい冬がきて食べ物が少なくなるときまで、だいじにしまっておこう」
 そこでバターをいっぱい入れたツボを、森の中にうめておくことにしました。
「こうしておいて、きみもぼくも冬になるまで、森の中のこのみちはとおらないというやくそくをしておこう」
「うん、そうしよう」
 ウサギとオオカミは、やくそくしました。
 ところがくいしんぼうのウサギは、そのバターをたべてみたくてたまりません。
「ああ、冬までまちきれないなあ。バターが食べたいなー。・・・そうだ。オオカミくんにはないしょで、ほんのちょっぴりなめてみよう」
 それで自分だけ、そっと森の中へ入っていってツボをほりだし、中のバターを少し食べました。
 さあ、そのバターのおいしいこと。
 つぎの日になると、また食べたくなったので、
「もう、ちょっぴりだけ」
と、また森へ入っていきました。
 そしてウサギが大いそぎで森の中からかけだしてくるところを、オオカミが見つけたのです。
「ウサギくん。森の道は、とおらないというやくそくだよ」
「ああ、その、それがね。じつは、森のむこうにいるねえさんが、かわいい男の赤ん坊をうんだというしらせをきいたので、はやく見にいきたくて、ついあの道をとおったのさ」
「ふーん。それならいいけど」
 ところがつぎの日もまた、オオカミは森の道をかけていくウサギを見かけましたので、
「ウサギくん。きょうもやくそくをやぶったね」
「ああ、ごめんごめん。おねえさんがね、こんどはかわいい女の子をうんだというので、見にいったのさ」
「ふーん。それならいいけど」
 そして二日たってまた、森からでてきたウサギをオオカミは見つけました。
「おいおい、またやくそくをやぶったな!」
「あっ、ごめん、おねえさんがね、かわいい三ばんめの赤ん坊をうんだのを見にいったのさ」
「毎日毎日、赤ん坊がうまれるものか。ほんとうは、あのバターを食べに行っていたんだろう」
「ウソじゃないよ。本当に赤ん坊が生まれたんだ」
「よしそれなら、これからいっしょに森の中へしらべにいこう」
 オオカミはそういって、ウサギを森へひっぱっていきました。
 そして、うめてあったバターのツボをほりだして、ふたをあけようとしたので、ウサギはあわてて、
「あいたた! おなかがいたくなった!」
と、いって、パタパタにげていきました。
 オオカミがふたをとってみますと、ツボの中はすっかりからっぽになっていました。
「やっぱりだ! あのうそつきウサギめ!」
 おこったオオカミは、ウサギをおいかけました。
 そのときです。
「ああ、たすけてーぇ!」
と、さけぶ声がします。
 オオカミが声のするほうへいきますと、草むらの中でウサギがバタバタとあばれていました。
 あんまりあわててにげたので、うっかり人間が作ったワナにかかってしまったのです。
 ワナに足をはさまれたウサギは、いっしょうけんめいさけびました。
「たすけておくれよ! オオカミくん!」
「いや、きみのようなウソつきは、もうぼくの友だちじゃないよ」
「ああ、どうかゆるしておくれ。もう二度とあんなことはしないから」
「ほんとうだね」
「ほんとうだとも」
 ウサギがないてあやまったので、オオカミはウサギをワナからたすけてやりました。
 でも、このときしっぽだけがワナにきられてしまったのです。
 その時からウサギのしっぽは、いまのように短くなったのです。

おしまい

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