11月15日の世界の昔話
マウイの仕事
ニュージーランドの昔話 → 国情報
むかしむかし、ある六人兄弟の一番下に、マウイという名の赤ちゃんがうまれました。
ところがマウイは、たいヘんみにくかったので、お母さんはマウイを海へ投げこんでしまいました。
でも、それを見ていた天の神さまたちがマウイをたすけてやり、大きくなるまでだいじにそだてました。
マウイは神さまたちに、いろいろな力と知恵(ちえ)をさずかりました。
マウイは大きくなると、天の神さまたちにおねがいして、うちに帰してもらいました。
マウイは五人の兄さんたちに、さかなをつきさすモリのつくり方や、ウナギをとるワナのかけ方を教えました。
まもなくマウイは、大きなしごとにとりかかりました。
まずはじめに、マウイは女の人のあご骨でつり針をつくって、海から島をいくつもつりあげました。
その中の一つはとても大きかったので、ひきあげるのにずいぶん骨がおれました。
そしてはしをひっぱられた島は、とうとう二つにわれて、ニュージーランドという島が生まれました。
またそのころ、お日さまはいまとちがって、ものすごくはやく動いていました。
人びとは日のあたる時間がみじかすぎて、作物がよくできないのでこまっていました。
そこでマウイは、なんとかしてお日さまが、もっとゆっくり動くようにしてやろうと思いました。
マウイはお母さんに、じょうぶななわを二本つくってもらいました。
おばあさんからは、魔法のつえをもらいました。
このなわとつえを持って、お日さまののぼる東にむかってでかけていきました。
やがてお日さまが、キラキラと金色にかがやきながらのぼってきました。
マウイはなわのまんなかにまるい輪をつくって、お日さまをつかまえました。
そして、なわの両はしを二本の木にむすびつけて、お日さまが動けないようにしてしまいました。
それから魔法のつえで、お日さまをビシバシたたきました。
お日さまは、いたくてたまりません。
とうとうがまんできなくなって、ゆっくり動くやくそくをしました。
マウイのもうひとつのしごとは、地上に火をもってくることでした。
そのころの人たちは、なんでも生(なま)のままでたべていたのです。
マウイは、地面のそこに悪魔(あくま)がいて、火の秘密を知っていることに気がつきました。
マウイは地面のそこへおりていって、悪魔どもをやっつけて、火の秘密(ひみつ)をならってきました。
火はこうして、つかえるようになったのです。
さて、三つの大きなしごとをおえたマウイは、こんどは四番目のしごとを考えました。
マウイは月の女神から、どうしたら人間がいつまでも生きていられるかを教わってこようと思いつきました。
そこである晩、マウイは月の女神のところへいって、
「どうか、人間にいつまでも生きられる力をあたえてください」
と、たのみました。
ところが女神は、マウイのたのみを聞いてくれるどころか、いきなりマウイをつかまえて、バクッと、ひとのみにしてしまったのです。
マウイは、人間がいつまでも生きていられるようにしてやろうとしたために、自分の命をうしなったのです。
でもマウイは、人間のためにこんなにたくさんの仕事をしてくれたのです。
おしまい
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