12月10日の世界の昔話
ゾウのめかた
中国の昔話 → 国情報
むかしむかし、中国のみやこへ、とおい南の国から一匹のゾウがおくられてきました。
「ほほう。なんと大きなけものなんだろう」
ゾウをはじめて見る人びとが、めずらしそうにあつまってきました。
「こんなけものは、これまで見たこともない。いったいめかた(→おもさ)は、どれくらいあるだろう?」
「では、はかってみようじゃないか」
「でも、こんな大きなものをはかるはかりはないだろう」
「そうだなあ。どうすればはかることができるだろう。なにかいいくふうはないかなあ?」
人びとがワイワイとそうだんしていると、一人がこういいました。
「まず、力もちの人をおおぜいあつめることだ。そしてゾウのからだになわをかけ、ながいぼうにとおしてかつぎあげてみたらどうだろう」
しかし、すぐにはんたいする人がでました。
「そりゃあだめだよ。それじゃゾウをもちあげるだけで、めかたははかれないじゃないか」
「そうだそうだ、やっぱり大きなはかりをつくらなければ、はかることはできないよ」
「でも、そんな大きなはかりをつくるのはむりだろう」
「そうだな。やっぱりむりか」
人びとは、とうとうあきらめようとしました。
そのときです。
うしろのほうで、
「はかるなんて、かんたんにできるけどなあ」
と、いう声がきこえました。
人びとがいっせいにふりかえると、そこに一人の男の子が、ニコニコわらいながらたっていました。
「なんだ子どもか。あっちにいきなさい。子どもにはわからないことだよ」
みんなはガッカリしましたが、子どもは大きな声でいいました。
「でも、ちゃんとはかることはできるよ! ほんとうだよ!」
「やれやれ。では、どうすればはかれるというのだね?」
「ほら、あれを見てごらん」
子どもは、むこうの大きな池をゆびさしました。
池には、大きな船がうかんでいます。
「あの船に、ゾウをのせるんだよ」
「それで、のせてどうするんだ?」
「ぼくのいうとおりに、やってみればわかるよ」
あんまりじしんたっぷりに子どもがいうので、みんなはしかたなく、ゾウをその船にのせてみました。
さて、ここでこのお話を読んでいるみなさんも、考えてみてください。
どうすれば、ゾウの重さをはかることができるのでしょうか?
・・・・・・では、お話の続きです。
ゾウが船にのると、ゾウのおもさで船がググッとしずみました。
子どもはそのしずんだところに、すみでしるしをつけます。
「さあ、これでよし。こんどはゾウをおろして、かわりに石をのせておくれ」
みんなはたくさんの石を、船にのせていきました。
すると船はすこしずつしずんでいって、とうとう、さっきゾウをのせたときにつけたしるしのところまできました。
「はい、そこでやめてください!」
子どもは、こんどはその石を船からおろし、すこしずつはかりではかるようにたのみました。
石をすこしずつなら、どんなはかりでもはかることができます。
みんなはひとかかえずつ石のめかたをはかりながら、それをちょうめんにかきつけていきました。
「さあ、みんなはかりおわったら、ぜんぶの石のめかたをたすんだ。それが、あのゾウのめかただよ」
みんなは、おどろきの声をあげました。
「そうか、なるほど。子どもだとバカにしていたが、これはすっかりやられてしまったわい」
「まったくだ。ほんとうにたいした子どもだ」
みんなはその子どものちえにかんしんして、この子どもをほめたたえました。
おしまい
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