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福娘童話集 > 日本のこわい話(百物語)

百物語 第112話

ふたりゆうれい

ふたりゆうれい

 むかしむかし、あるところに、ゆうれいが出るとうわさされるお寺がありました。
 そのゆうれいは二人で、お互いに話し合うというのです。
「そんなばかな。ゆうれいが二人で、おしゃべりするなど。・・・よし、おれが、この目でたしかめてやる」
 うわさをきいて、気の強いひとりの男が、おはかにしのんでいきました。
 やがて、草木もねむる、うし三つどき(→午前二時ごろ)です。
 ヒソヒソッ、ヒソヒソヒソッ。
 どこからか、話し声がきこえてきました。
 男が声をたよりに、はか石のあいだをぬっていくと、小さなはか石のそばで、男のゆうれいと女のゆうれいが、手をとりあって、言葉をかわしています。
 男のゆうれいは、まだ三十まえですが、女のゆうれいは、六十すぎのおばあさんでした。
 話のようすからすると、二人は夫婦(ふうふ)のようです。
「やっぱり、うわさどおりだ。しかし、夫婦にしては、こんなに年がちがうのはおかしい」
 そこで気の強い男は、次の朝、お寺の和尚(おしょう)さんにわけをはなして、おはかにきてもらいました。
「ゆうれいは、このあたりにいたのだね。それはきっと、このはかから現れたのだろう」
 和尚さんは、小さなはか石のまえで足を止めました。
「ここには、四十年近く前に、若い奥さんを残して死んだ男がとむらってあった。残された奥さんは長生きをしたが、このあいだ、六十をすぎて死んだので、いっしょにとむらってやったんだ。だが、おまいりに来てくれる人もいないので、あの世へゆけんのじゃろうて」
 和尚さんの話に、二人のゆうれいの年の違うわけがわかりました。
「死んでから、ゆうれいになっても、なかむつまじくするなんて、うらやましい。・・・おれも、いい嫁さんをみつけなくちゃ」
 気の強い男は、和尚さんにたのんで、ねんごろにお経をあげてもらいました。

おしまい

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