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10月18日の日本の昔話
竹の子童子
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「きべだよ。」
むかしむかし、三ちゃんという、おけ屋の小僧さんがいました。
ある日の事、三ちゃんは竹やぶへ竹を切りに行きました。
「どの竹を切ろうかな?」
三ちゃんがひとりごとを言うと、後ろの方から、
「・・・三ちゃん、・・・三ちゃん」
と、小さな声も聞こえました。
「おや、だれだろう?」
三ちゃんは、グルリとあたりを見回しました。
しかし、誰もいません。
ただ竹が、ザワザワとゆれるばかりです。
「なんだ、誰もいないじゃないか」
三ちゃんが歩き出すと、また、
「三ちゃあん、三ちゃあん」
と、さっきよりも大きな声が聞こえるのです。
「誰だい? さっきから呼んでるのは? どこにかくれているんだ?」
三ちゃんが言うと、すぐそばの竹が答えました。
「ここだよ、ここだよ。この竹の中だよ」
「この竹の中?」
三ちゃんは、竹に耳をつけてみました。
すると竹の中から、はっきりと声が聞こえてきます。
「三ちゃん、お願いだよ。この竹を切っとくれ」
そこで三ちゃんは、その竹を切り倒してみました。
すると竹の中から、小さな小さな男の子が飛びだしてきたのです。
「わぁーい、助かった。ありがとう!」
その男の子は、三ちゃんの小指ぐらいの大きさです。
「お前は、何者だ?!」
「ぼくは、天の子どもだよ」
小さな男の子は、ピョンと三ちゃんの手のひらに飛び乗りました。
「ゆうべ、流れ星に乗って遊んでいたら、いじわるな竹がぼくを閉じこめてしまったんだ。でも三ちゃんのおかげで、助かったよ。これでやっと、天に帰れる」
「そうか、それはよかったね。でもどうして、ぼくの名まえを知ってるの?」
「天の子はね、世界中の事をみんな知っているんだよ」
「ふーん、すごいね。それで、きみの名前は?」
「ぼくの名前は、竹の子童子(たけのこどうじ)だよ」
「竹の子童子か。いくつ?」
「ぼくの年かい? まだ、たったの千二百三十四才だよ」
「うへぇ!」
三ちゃんがビックリすると、竹の子童子はニコニコして言いました。
「助けてもらったお礼に、三ちゃんの願いをかなえてあげるよ」
「ほんとうかい?」
「ほんとうさ。天の子は、うそをつかないんだ。それで、何が願いだい?」
三ちゃんは、しばらく考えてから答えました。
「ぼくを、お侍にしておくれ。強いお侍になって武者修行(むしゃしゅぎょう)にいきたい」
「よし、じゃ、目をつぶって」
三ちゃんが目をつぶると、竹の子童子が大きな声で言いました。
「竹の子、竹の子、三ちゃんをお侍にしておくれ。・・・ほら三ちゃん、お侍になったよ」
三ちゃんが目を開けると、そこはにぎやかな京の都で、三ちゃんはいつの間にか立派なお侍になっていました。
「わあ、ほんとうにお侍だ! 竹の子童子、ありがとう」
三ちゃんが手のひらを見ると、竹の子童子はいなくなっていました。
おしまい
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