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第 243話

浜千鳥

浜千鳥
沖縄県の民話沖縄県の情報

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 むかしむかし、沖縄のある海辺に、若い夫婦が住んでいました。
 この夫婦は普通の夫婦とは違って夫が家の仕事をして、女房が船に乗って捕まえた魚を町へ売りに行くのです。

 ある日の事、町へ魚を売りに行った女房の帰りが遅いので、心配になった夫が捜しに行きました。
「魚が大漁で、売りさばくのに時間がかかっているのかな?」
 しかし町には、女房の姿はありません。
「もしかすると魚が捕れなかったので、まだ浜でがんばっているのかな?」
 しかし浜辺へ行っても。女房の姿はありませんでした。
 そこで夫が女房を捜しながら歩いていると、小さな鳥が干してある網(あみ)にからまってもがいていたのです。
 夫はその鳥を網から外して、逃がしてやりました。

 それから夫は何日何日も女房を捜し続けましたが、女房はどこにもいません。
 そんなある日、夫が縁側に腰をかけてぼんやり外をながめていると、見た事がない女が家の庭に入ってきて、家の井戸水で洗濯を始めたのです。
「はて? どこの女だろう?」
 夫は不思議に思いながらも、何も言わずに女が洗濯するのをながめていました。
 それからも、その女は毎日の様に家にやって来て、洗濯をするようになったのです。

 ある日の事、夫が外から帰って来ると、家の台所でその女がご飯の支度をしていました。
 これにはさすがに、夫も女に声をかけました。
「あの、ここはおれの家の台所ですが、あなたはどこのどなたでございますか?」
 すると女は、ニッコリ笑って言いました。
「わたしは、あなたへのご恩返しに、食事の支度をしておりました」
「・・・ああ、そうですか」
 夫は、井戸を使わせてやったお礼だと思いました。

 晩ご飯が終わると、夫が女に尋ねました。
「まだ、あなたの名前を教えてもらっていませんが」
「わたしは、千鳥(ちどり)と申します。だけど千鳥という名前は、誰にも教えないで下さい」
 それから千鳥という女は、毎日、夫の家にやって来ては、食事、洗濯、掃除と家の仕事をやってくれるのです。

 そんなある日、夫の友だちが用事でやって来ました。
 そして友だちは、千鳥を見てびっくりです。
「美しい女だな。名前は、何という? よければおれにも、紹介しろや」
「いや、なに、彼女は千鳥という名前で、色々と家の世話をしてくれているんだ」
 それを聞いた千鳥は突然に悲しい顔をしてうつむいたまま、夫の友だちが何を話しかけても身動き一つしませんでした。
 やがて友だちが、けげんな顔して帰ると、千鳥が夫に言いました。
「わたしの名前が千鳥だと、あなた以外の人に知られたからには、もうここにいる事は出来ません。
 あれだけ注意して下さいとお願いしていましたのに、残念でなりません。
 ・・・実はわたしは、浜で網にからまっているところを助けていただいた浜千鳥です。
 海で死んだあなたの奥さんの、代わりになろうと思ったのですが」
 千鳥はそう言うと鳥の姿になって、ピ―ッと鳴きながらどこかへ飛んでいってしまいました。

おしまい

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