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第 266話

夜の蜘蛛

夜の蜘蛛
愛知県の民話愛知県の情報

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 むかしむかし、村人がひとり者の男に聞きました。
「お前も年頃だ。いいかげん、嫁さんをもらったらどうだ?」
 すると男が、こう答えたのです。
「嫁は欲しいが、望むような女がおらんのじゃ。望むような女がおれば、すぐにでも嫁にもらうのだが」
「お前は、どんな女が望みなんじゃ?」
 村人が尋ねると、男は指で数えながら答えました。
「まず第一に、器量が良くなくてはならん。
 第二に、よく働く女がいい
 そして第三に、あまり飯を食わん事じゃ。
 米がもったいないからな。
 出来れば、何も食べん女がいい」
「お前は、ばかか?! どこを探せば、そんな都合のいい女がいるんじゃ!」
 村人は馬鹿馬鹿しくなって、帰って行きました。
 でもそれから数日後、男の望み通りの女が現れたのです。
 その女は道に迷っていたところを男の家に泊めてもらい、そのまま居ついて男の女房になったのですが、これが器量良しで、よく働くし、そして何も食べないのです。
「器量良しで、よく働き、何も食べん。まったく、最高の嫁じゃ!」
 男はとても喜んでいましたが、村人たちはそんな女を気味悪く思っていました。

 ある日の事、女房が男を自分の里へ連れて行きたいと言うので、男は女房と一緒に山道を登って行きました。
 そしてその途中で、男のお腹が急に痛くなったのです。
「あたっ、あいたたたた。・・・これでは、お前の里まで行けんぞ」
「もう少しなので、わたしが背中に背負ってあげましょう」
 女房はそう言うと、男をひょいと背中へかつぎました。
(おお、これは楽だ)
 やがてお腹の痛みもなくなり、男は女房に背負われたままウトウトと眠ってしまいました。

 しばらく行くと、女房は男を草の上に降ろしました。
(うん、着いたのか?)
 目を覚ました男が女房に声をかけようとすると、女房が突然大きな声で言いました。
「お―い! うまそうな人間を、捕まえてきたぞ。今はよく寝ているから、早く食いに来いや!」
 それを聞いて、男はびっくりです。
(あわわわわ。おれの女房は、人食いの化け物だったのか! このままでは、殺されるぞ!)
 男は女房のすきを見て、そばにある菖蒲(しょうぶ)と蓬(よもぎ)の生い茂る草むらへと飛び込んで、じっと身を隠しました。
 そして外の様子を見てみると、大きな蛇に姿を変えた女房の周りへ、大小の蛇たちが目を輝かせながら集まってきたのです。
「おや? お前が連れて来た人間が見えんぞ」
「ああ、うっかり逃がしてしまった」
「それは残念。せっかく人間が食えると思ったのに」
「仕方ない。今夜は村へ、人間を食いに行こう」
 これを聞いた男は山道走って、なんとか村へ戻ってきました。
「大変だー! 蛇どもが村へやって来るぞー!」

 男からわけ聞いた村人たちが、手に武器を持って集まってきました。
 そして、たき火をたきながら蛇がやって来るのを待ち構えているところへ、空から大きなクモが飛んで来たのです。
 大クモは長いあしを広げて村人たちに襲いかかりましたが、村人たちは力をあわせて大クモをたき火の中へたたき込みました。
 すると大グモは数十匹のヘビへと姿を変えて、たき火の炎と煙に巻かれて死んでしまいました。

 この事があってから、
《夜の蜘蛛は、親に似ていても殺せ》
と、言うようになったのです。

 そしてこの日が五月五日だったので、それ以来、五月五日には魔物を近づけない様に、男を守ってくれた菖蒲と蓬の葉を家の屋根の上に乗せる様になったそうです。

おしまい

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