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第134話

あの世の結婚式に出席した若者

あの世の結婚式に出席した若者
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 むかしむかし、あるところに、兄弟の様に仲の良い二人の若者がいました。
「結婚する時は、お互いに招こうね」
「ああ、もちろんだとも。どんな事があっても、必ず呼ぶよ」
 二人は、そう約束をしていました。
 ところが間もなく、一人の若者が病気で死んでしまったのです。
 残された若者は、死んだ友だちのお葬式を心を込めてやりました。
 やがてその若者に、結婚相手が見つかりました。
 若者は約束した通り、死んだ友だちにその事を知らせに行きました。
「ぼく、結婚するんだ。式には来てくれるかい?」
 お墓の前で大きな声で言うと、死んだ友だちが生きている時と変わらない姿で現れて、友だちに言いました。
「それはおめでとう。もちろん行くよ。花嫁を教会に連れて行く役は、ぼくが引き受けよう」

 さて結婚式の日、友だちは約束通り花嫁の家に現れました。
 でもその姿は、花嫁と若者にしか見えません。
「あれ? 花嫁がたった一人で行くよ」
「でも、見えない誰かと歩いているみたいだ」
 人々は、とても不思議がりました。
 結婚式が終わると、死んだ友だちが言いました。
「実は、ぼくもあの世で結婚しようと思うんだ。式には来てくれるかい?」
「もちろんさ。でも、どうやって行けばいいの?」
「大丈夫さ。お墓の横の細い道で待っていてくれれば」
 その日、若者が言われた通りお墓へ行くと、白い馬がくらを乗せて待っていました。
 若者が馬に乗ると、馬は矢の様な勢いで走り出しました。
 あの世での友だちの結婚式は、三日の間続きました。

「じゃあ、ぼくはそろそろ帰るね」
 死んだ友だちに別れを告げた若者は、再び白い馬に乗って家に帰りました。
 するとどうした事か、家はボロボロで誰も住んでおらず、村には妻も村人も、知っている人が誰もいないのです。
 それもそのはずで、若者があの世の結婚式に出席した三日間に、この世では三百年も過ぎていたのです。

おしまい

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