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第200話

ロバとラクダ

ロバとラクダ
アルメニアの昔話アルメニアの情報

 むかしむかし、とても仲良しのロバとラクダが、おいしい草をたらふく食べて幸せな気持ちで昼寝をしていました。
「ああ、おいしい草だった。何だか、歌でも歌いたくなった」
 ロバがそういったので、ラクダはびっくりして飛び起きました。
「せっかくいい気持ちでいたのに、歌なんかやめてくれよ。きみが歌を歌うと、悪い事が起きそうな気がする」
 でもロバは知らん顔をして、大声で歌い始めました。
♪ロバの口は、なぜ大きい
♪それは、おいしい草をたくさん食べるため
♪ラクダのこぶは、なぜあるの?
♪それは、水をたくわえるため
 ロバの歌声はあたりに響き渡り、近くを歩いていた商人の耳に入りました。
「よしよし、いいものを見つけたぞ」
 商人はロバとラクダを捕まえると、二頭の背中に重い荷物を積み上げました。
 ところが、なれない荷物に、ロバはすぐのびてしまいました。
 そこで.商人は荷物ごと、ロバをラクダの背中に乗せました。
 ますます重くなった背中に向かって、ラクダはぶつぶつ文句を言いました。
「だから歌うなと言ったのに。あの時、きみが歌わなければ、こんな目に会わずにすんだんだ」
「・・・・・」
 反省しているのか、していないのか、ロバは何も言いません。
 やがて、山道にさしかかりました。
 道の向こうは、深い谷問です。
 その時、ラクダが言いました。
「いい景色だな。何だか、ダンスをしたくなったよ」
 すると背中のロバが、あわてて言いました。
「やめてくれ。きみがダンスなんかしたら、悪い事が起きそうな気がする」
 でもラクダは、知らん顔でダンスを始めました。
♪前足上げて、ヒョイヒョイヒョイ
♪後ろ足上げて、ヒョイヒョイヒョイ
  するとその時、ラクダは足を滑らせて、背中のロバもろとも、深い谷間に転がり落ちてしまいました。

おしまい

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