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第225話
ラ・ダナの空っぽの米倉
インドネシアの昔話 → インドネシアの情報
むかし、インドネシアのセレベス島のある村に、ラ・ダナという若者が住んでいました。
ラ・ダナは家に米倉がありますが、今年は少し食べすぎたので、もう米倉に米が残っていません。
(どうしたものかな。他の家には、まだ米がたくさん残っているというのに)
他の家に行って米を分けて欲しいと頼めば、気の良い村人達はきっと分けてくれるでしょう。
でも恥ずかしいので、ラ・ダナにはそんな事は出来ません。
そこでラ・ダナは、他の家々に米ではなく何でも良いから燃える物を少し分けて欲しいと頼みました。
そして、みんなからもらった燃える物を米倉の周りに並べました。
ラ・ダナが何をしようとしているか気になった村人達が、ラ・ダナの米倉の前に集まって来ました。
大勢の人が集まった前で、ラ・ダナは火をおこそうとしています。
それを見て、村人の一人が尋ねました。
「ラ・ダナよ。こんな所で火をおこして、どうするんだい?」
「ああ、ぼくの米倉が空っぽになったから、火をつけて燃やしてしまおうと思うんだ」
村人達は、びっくりです。
「そ、そんな事は止めてくれ! お前さんの米倉が火事になったら、その飛び火でわしらの米倉まで焼けてしまう!」
「うーん、それはそうかもしれないけど、空っぽの米倉を持っていても仕方がないからね。この米倉に、米が残っているのなら別だけど・・・」
それを聞いた村人達はラ・ダナが米倉に火を付けるのを止めさせるため、みんなで米を出し合ってラ・ダナの米倉に入れてやる事にしました。
こうしてラ・ダナの米倉は米で一杯になり、その年は米に困る事はありませんでした。
おしまい
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