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        福娘童話集 > アニメかみしばい 子育て幽霊
     
         
          子育て幽霊 
         
        アニメサイズ
        Max 1440×1080 youtubeの設定で変更可能 
        字幕「日本語」「英語」「中国語」「台湾語」を追加しました。 
        
         
         
        子育て幽霊 
        日本の昔話 
      
       むかしむかし、ある村に、一軒のアメ屋がありました。 
         
         ある年の夏の事、夜も遅くなったので、アメ屋さんがそろそろ店を閉めようかと思っていると、 
         トントントントン 
        と、戸を叩く音がしました。 
        「はて、こんな遅くに誰だろう?」 
      と、アメ屋さんが戸を開けてみますと、一人の女の人が立っていました。 
      「あの、アメをくださいな」 
        「あっ、はい。少々お待ちを」 
         アメ屋さんは女の人が持ってきたうつわに、つぼから水アメをすくって入れました。 
        「へい。一文(いちもん→30円ほど)いただきます」 
        「ありがとう」 
         女の人はお金を払うと、消えるように行ってしまいました。 
         
         その次の日。 
         今日もアメ屋さんが戸締まりをしようと思っていると、また戸を叩く音がします。 
        「あの、アメをくださいな」 
         やはり、あの女の人でした。 
         女の人は昨日と同じようにアメを買うと、スーッと、どこかへ帰って行きます。 
         それから毎晩、女の人は夜ふけになるとアメを買いに来ました。 
         次の日も、その次の日も、決まって夜ふけに現れてはアメを買って行くのです。 
         
       さて、ある雨の夜。 
       この日は隣村のアメ屋さんが訪ねて来て、色々と話し込んでいたのですが、 
        「あの、アメをくださいな」 
      と、いつものように現れた女の人を見て、隣村のアメ屋さんはガタガタ震え出したのです。 
      「あ、あ、あの女は、ひと月ほど前に死んだ、松吉(まつきち)のかかあにちげえねえ」 
        「えっ!」 
         二人は、顔を見合わせました。 
         死んだはずの女の人が、夜な夜なアメを買いに来るはずはありません。 
         しかし隣村のアメ屋は、間違いないと言います。 
       そこで二人は、女の後をつけてみることにしました。 
       アメを買った女の人は林を抜け、隣村へと歩いていきます。 
         その場所は、 
        「はっ、墓だ!」 
       女の人は墓場の中に入っていくと、スーッと煙のように消えてしまったのです。 
      「お、お化けだー!」  
         二人はお寺に駆け込むと、和尚(おしょう)さんにこれまでの事を話しました。 
       しかし和尚さんは、 
      「そんな馬鹿な事があるものか。きっと、何かの見間違いじゃろう」 
        と、言いましたが、二人があまりにも真剣なので、仕方なく二人と一緒に墓場へ行ってみる事にしました。 
         すると、 
       オンギャー、オンギャー 
      と、
        かすかに赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。 
         声のする方へ行ってみると、 
      「あっ、人間の赤ん坊じゃないか! どうしてこんなところに?!」 
       和尚さんがちょうちんの明かりをてらしてみると、そばに手紙がそえられています。 
         それによると、赤ん坊は捨て子でした。 
        「手紙によると、捨てられたのは数日前。 
         それから何日もたつのに、どうして生きられたんじゃ?」 
         ふと見ると、あの女の人が毎晩アメを買っていったうつわが、赤ん坊の横に転がっていたのです。 
       そして、赤ん坊が捨てられたそばの墓を見ると。 
      「おお、これはこの前に死んだ、松吉の女房の墓じゃ!」 
         何と幽霊が、人間の子どもを育てていたのです。 
        「なるほど、それでアメを買いに来たんだな。 
         それも自分の村では顔を知られているので、わざわざ隣村まで」 
         きっと自分の墓のそばに捨てられた赤ん坊を、見るに見かねたにちがいありません。 
       和尚さんは心を打たれて、松吉の女房の墓に手を合わせました。  
      「やさしい仏さまじゃ。この子はわしが育てるに、安心してくだされよ」 
         こうしてお墓に捨てられた赤ん坊は、和尚さんにひきとられました。 
       それからあの女の人がアメ屋さんに現れる事は、もう二度となかったそうです。 
      おしまい 
      朗読者の異なる「Bタイプ」はこちら → 「子育て Bタイプ」 
        
         
        
        
      
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