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世界の有名な話 第42話

金のオノ、銀のオノ
むかしある男が、川のそばで木を切っていました。
ところが手が滑って、持っていたオノを川に落としてしまいました。
男はこまってしまい、シクシク泣きました。
オノがないと、仕事ができないからです。
すると、川の中からヘルメス(→詳細)という神さまが出てきて、ぴかぴかに光る金のオノを見せました。
「おまえが落としたのは、このオノか?」
「ちがいます。わたしが落としたのはそんなにりっぱなオノではありません」
すると神さまは、つぎに銀のオノを出しました。
「では、このオノか?」
「いいえ。そんなにきれいなオノでもありません」
「では、このオノか?」
神さまが3番目に見せたのは、使い古したきたないオノでした。
「そうです。そうです。拾って下さってありがとうございます」
「そうか、おまえは正直な男だな」
神さまは感心して、金のオノも銀のオノも男にくれました。
よろこんだ男がこのことを友だちに話すと、友だちはうらやましがって、「おれも金のオノをもらってこよう」と、さっそくきたないオノを持って川へ出かけました。
そして、「えいっ」と、わざとオノを川に投げると、シクシクうそ泣きを始めました。
そこへ川から神さまが出てきて、ぴかぴか光る金のオノを見せました。
「おまえが落としたのは、このオノか?」
「そうです。そうです。金のオノです。その金のオノを川に落としてしまったんです」
とたんに、神さまは目をつり上げて、「このうそつきのよくばり者め!!」
こわい顔でどなると、川の中へ戻ってしまいました。
うそつきでよくばりのこの友だちは、自分のオノも拾ってもらえず、いつまでも川のそばでワンワン泣いていました。
この話は、神さまは正直な人にはやさしくしてくれるが、それだけに、うそつきにはきびしいたいどをとります。
よくばってうそをつくと、けっきょくは、前よりも損をするのです。
※よく知られている「金のオノ、銀のオノ」ですが、一般的なイメージは、「湖の女神」ですが、本来はこの話の様に、「川のヘルメス」なのです。
おしまい
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