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6月16日のイソップ童話
天文学者
ある天文学者が、毎晩外に出て、星を観測していました。
ところがある日、郊外を空ばかりながめながら歩いているうちに、うっかりして井戸に落ちてしまいました。
「おーい、助けてくれ。なんとかしてくれ」
と、さけんでいると、とおりかかった人がその声を聞いて、井戸のそばへやってきました。
見ると天文学者が井戸の底に落ちているので、その人はいいました。
「これはこれは、学者さん、あんたは空にあるものは見たがるが、地面にあるものは見えないのかね」
自分はたいしたことをやっていると、とくいになっていばりちらすくせに、毎日のくらしの中にあるあたりまえのことができない人に、この話を聞かせてやるとよいでしょう。
おしまい