なみだがポロリ 日本の悲しい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本の悲しい話 > 雪女
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 日本の悲しい話 (全30話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
 


日本の悲しい話 第21話

雪女

雪女

ひらがな ←→ 日本語・英語 ←→ English

 むかしむかしの、寒い寒い北国でのお話です。
 あるところに、茂作(しげさく)とおの吉という、きこりの親子がすんでいました。
 この親子、山がすっぽり雪につつまれるころになると、鉄砲を持って猟に出かけていくのです。
 ある日の事、親子はいつものように雪山へ入っていきましたが、いつのまにか、空は黒雲におおわれ、冬山は人をよせつけぬかのように、あばれはじめました。
 ふきすさぶ吹雪(ふぶき)は、のぼってきた足あとをかき消してしまいます。
 二人はやっと、きこり小屋を見つけました。
「今夜はここでとまるより、しかたあるめえ」
「うんだなあ」
 チロチロと燃えるいろりの火にあたりながら、二人は昼間の疲れからか、いつのまにかねむりこんでしまったのです。
 風の勢いで、戸がガタンと開き、雪がまいこんできました。
 そして、いろりの火が、フッと消えました。
「う〜、寒い」
 あまりの寒さに目をさましたおの吉は、そのとき、人影を見たのです。
「だれじゃ、そこにおるのは?」
 そこに姿をあらわしたのは、若く美しい女の人でした。
雪女!」
 雪女は、ねむっている茂作のそばに立つと、口から白い息をはきました。
 茂作の顔に白い息がかかると、茂作の体はだんだんと白くかわっていきます。
 そしてねむったまま、しずかに息をひきとってしまいました。
 雪女は、今度はおの吉の方へ近づいてきます。
「たっ、助けてくれー!」
 必死で逃げようとするおの吉に、なぜか雪女はやさしくいいました。
「そなたはまだ若々しく、命がかがやいています。望み通り、助けてあげましょう。でも、今夜のことを、もしもだれかに話したら、そのときは、そなたの美しい命はおわってしまいましょう」
 そういうと雪女は、ふりしきる雪の中にすいこまれるように、消えてしまいました。
 おの吉は、そのまま気を失ってしまいました。
 やがて朝になり、目がさめたおの吉は、父の茂作がこごえ死んでいるのを見つけたのです。
 それから、一年がたちました。
 ある大雨の日、おの吉の家の前に、一人の女の人が立っていました。
「雨で、困っておいでじゃろう」
 気だてのいいおの吉は、女の人を家に入れてやりました。
 女の人は、お雪という名でした。
 おの吉とお雪は夫婦になり、かわいい子どもにもめぐまれて、それはそれは幸せでした。
 けれど、ちょっと心配なのは、暑い日ざしをうけると、お雪はフラフラと倒れてしまうのです。
 でも、やさしいおの吉は、そんなお雪をしっかり助けて、なかよくくらしていました。
 そんなある日、はり仕事をしているお雪の横顔を見て、おの吉は、ふっと遠い日のことを思い出したのです。
「のう、お雪。わしは以前に、お前のように美しいおなごを見たことがある。お前とそっくりじゃった。山でふぶきにあっての。そのときじゃ、あれは、たしか雪女」
 すると突然、お雪が悲しそうにいいました。
「あなた、とうとう話してしまったのね。あれほど約束したのに」
「どうしたんだ、お雪!」
 お雪の着物は、いつのまにか白くかわっています。
 雪女であるお雪は、あの夜の事を話されてしまったので、もう人間でいる事が出来ないのです。
「あなたの事は、いつまでも忘れません。とても幸せでした。子どもを、お願いしますよ。では、さようなら」
 そのとき、戸がバタンと開いて、つめたい風がふきこんできました。
 そして、お雪の姿は消えたのです。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診