福娘童話集 きょうの日本昔話
福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話 > あかんべえおばけ

3月21日の日本の昔話

あかんべえおばけ

あかんべえおばけ

 むかしむかし、化け物屋敷があるときいた、気のつよいびんぼうざむらいがいました。
「よし、おれが化け物を退治してやる!」
 あれほうだいの屋敷に入りこんで、化け物があらわれるのをまっていますと、草木もねむるうし三つどき(午前二時ごろ)。
 どこからともなく、おじいさんがあらわれました。
 おそろしくも、なんともありません。
「つまらん化け物だ。ひっこめ!」
 さむらいがそういうと、
「いいえ、わたしは化け物ではありません。もと、この家のあるじでございます。わたしが商売をやっておりましたころは、店もはんじょうしておりましたが、あとつぎのせがれめが店をつぶして、ごらんのありさま。なさけないかぎりです。そこで、あなたさまにねがいがございます」
「なんなりと、いうてみい」
「ほら、向こうに池がありましょう。あの池のわきの大きな石の下に、わたしがたくわえておいた小判が五万両(約七千五百万円)ほどかくしてございます」
「えっ、五万両! それは大金だな」
「ねがいというのは、ほかでもございません。その小判をもとでに、この家をもういちど、もりたてていただきたいのです」
 おじいさんは、そういって、スーッと消えていきました。
「うむ、悪いはなしではないな。五万両を手に入れ、この家の大だんなにおさまるか」
 夜があけると、さむらいは石の下をほり始めました。
「よしよし、おれにも、いよいよ、よい運がまわってきたぞ」
 ドンドンほっていくと、ふるめかしい箱が出てきました。
「しめたっ。これだ」
 さむらいがよろこんで箱のふたを取ると、中から大きなおばけが出てきて、
「アカンベエー!」
と、まっかな舌を、ペロリンと、出したそうです。

おしまい

366日への旅 トップへ移動

今日は何の日へ移動 今日の誕生花へ移動 今日の誕生日へ移動
福娘童話集 きょうの世界昔話  今日のイソップ童話へ移動 きょうの小話へ移動

トップページへ移動   このページを閉じる   ホームへ移動