心があたたまる 日本の恩返し話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本の恩返し話 > サルの恩返し
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 日本の恩返し話 (全30話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
 


日本の恩返し話 第6話

サルの恩返し

サルの恩返し

 むかしむかし、九州のお大名の家来で、勘助(かんすけ)という男がおりました。
 勘助の仕事は、手紙をかついで届ける、飛脚(ひきゃく→詳細)でした。
 そのころ地方の大名たちは、めずらしい刀や名刀が手に入ると、これを飛脚にたくして、江戸に運ばせたのです。
 勘助もいま、将軍さまに献上(けんじょう)するたいせつな刀をかかえて、東海道(とうかいどう)を江戸にむかっているのでした。
 さて、勘助が薩摩峠(さつまとうげ)という大きな峠にむかうとちゅう。
 小高いがけの上で、サルのむれが、キーキーと鳴きさわいでいます。
 勘助は、なにごとかと思って、海べのところまでいってみました。
「こりゃあ、たまげた」
 なんとおどろいたことに、一ぴきのサルが、ばけもののような大ダコにさらわれようとしています。
「よし、いま助けてやる!」
 勘助は、こしにさしていた刀をサッとぬいて、波打ちぎわにかけつけました。
「えいっ、えいっ、えいっ!」
 勘助は大ダコめがけて、思いっきり何度も何度も刀をふりおろします。
 ところが、この大ダコの体のかたいのなんの。
 刀は、あっというまにボロボロになってしまいました。
「こりゃあ、とんでもないばけものダコじゃ。たまったもんじゃないわい。こんなのにつきあってはおれん」
 勘助は、にげだそうとしましたが、そのとき勘助は、将軍さまへとどける刀を持っていることを思い出しました。
「そうじゃ、将軍さまにさしあげるこの刀なら、あのばけものダコをやっつけられるかもしれんぞ。将軍さま、ちょっくら、おかりしますだ」
 サルはもう、大ダコに海の中にひきずりこまれています。
 なかまのサルたちが海のほうを見て、心配そうにギャーギャーと、さわぎます。
 勘助はすばやくおびをとき、はだかになって将軍さまの刀を口にくわえて、ザップンと海にとびこみました。
 勘助は、大ダコの足にかみついてサルを助け出すなり、
「えいっ!」
と、将軍さまの刀で大ダコに切りかかりました。
 ところが、大ダコの体にあたったとたん、その刀が折れてしまったのです。
 勘助は、サルを助けて海べにあがってきたものの、その場にヘナヘナとすわりこんでしまいました。
「たいへんだあ。将軍さまにさしあげる刀が、折れちまっただよ。おらは、どうすればいいんだ」
 そのとき、なかまを助けてもらったお礼のつもりか、サルたちかやってきて、勘助に一本の刀をさしだしました。
「なんじゃ? 刀じゃないか。なんでサルがこんなもん、持っとるんじゃ」
 勘助はふしぎに思いながら、刀をぬいてみました。
「おおっ! なんというすばらしい刀じゃ。これなら将軍さまもよろこんでくださるぞ」
 これはよいものを手に入れたと、さっそく出かけようとすると、後ろからサルたちが、ゾロゾロとついてきました。
 サルの指さすほうを見ると、あのばけものダコが、こちらにせまっています。
 サルたちは、この刀でタコをやっつけてくれといっているのです。
「わかった、わかったよ」
 こうして勘助は、また海の中ヘ。
「てやあっ! とう! ややっ、すごい切れあじ。これなら勝てるぞ! さあ、どこからでもかかってこい」
 その刀はするどく、あっというまにタコをたいじしたのでした。
 勘助がサルからもらった刀は、刀づくりの名人、五郎正宗(ごろうまさむね)の名刀だったそうです。
 将軍さまは、この刀を「猿正宗」とよんで、いつまでも家宝として大切にしたということです。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診