ゲラゲラわらう 日本のわらい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
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日本のわらい話 第12話

おかみすり

おかみすり

 むかしむかし、ある山寺に、すなおで正直な小僧さんが、和尚(おしょう→詳細)さんと二人ですんでおりました。
 ある日のこと、小僧さんがそうじをしていると、和尚さんが帰ってきました。
「和尚さま、お帰りなさい」
「おほん! そうじはすみからすみまでていねいに、時間をかけてな、わかっとるやろな」
 などといいながら、和尚さんはすまして自分のへやへむかいます。
 そのとき、さいふを落としたのに気がつきません。
 和尚さんは、まわりをキョロキョロ見まわしてからへやへ入り、そうっとしょうじをしめた。
 ところでこの和尚さん、川魚のアユが大こうぶつです。
 そのころのお坊さんは、魚を食べてはいけないことになっていました。
 だから和尚さんは、いつもこっそりかくれて、アユを食べていたのです。
 きょうもまた、こっそりアユを食べようと、ふところからつつみを取り出して、
「まったく、アユちゅう魚は、すがたといい、かおりといい、味といい、天下一品や」
と、和尚さんはニンマリ。
 そのとき、しょうじが開いて小僧さんが顔を出しました。
「和尚さま、さいふを・・・。あれっ? 和尚さまは魚を食べてはるんですか?」
「いやその、こ、これは魚じゃないぞ」
「では、なんなんですか?」
「おほん、これはな、おかみすりというもんや」
「おかみすりって、あの頭をそるときのでござりますか?」
「そうや、わしはこのおかみすりが大すきでのうっ」
と、いいながら、和尚さんはアユをおいしそうに食べました。
 さて、つぎの日。
 小憎さんは、遠いところまで法事(ほうじ)に出かける和尚さんのおともをすることになりました。
「そうや! いただいたかさを持っていって、だいじにしているところを見せんとな」
と、雨もふっていないのに、小僧さんにかさを持たせました。
「ではいくぞ、おとなしくついてくるんだぞ」
「へえ〜い」
 和尚さんの乗ったウマが、パッカパッカといくあとを、小僧さんはかさをかかえてついていきます。
「小僧や、川やぞ!」
 大きな川を、ウマに乗った和尚さんは、ザッパ、ザッパとわたります。
 小僧さんも、いっしょうけんめい追いかけました。
と、たくさんのアユが、川のあちこちにいるではありませんか。
 小僧さんは、前をいく和尚さんに大声でいいました。
「和尚さま、いつも食べておられるおかみすりちゅうもんが、ほれ、たくさん泳いどります。和尚さまこうぶつのおかみすりが」
 そばを通りかかった旅人が、おかしそうに顔を見あわせました。
 和尚さんは、あわてていいました。
「ばかもの。なにをねぼけておる。急ぐんや」
「ええ〜っ?」
 和尚さんは、あとをついてくる小僧さんに、こういいました。
「ええな、なにごとも聞いたら聞きながし、見たら見すごして、なにがおきてもだまってついてくるんや」
「へえ」
 小僧さんは首をかしげるばかりです。
 パカパカ、パカパカ。
 ウマに乗った和尚さんのあとから、小僧さんはだまってついていきました。
 すると、また川がありました。
「小僧や、また川やぞ。ものをおとすでないぞ」
と、いう和尚さんが、川のとちゅうで、タバコ入れを落としました。
「あっ、タバコ・・・」
 あわてて口をおさえた小僧さんは、流れるタバコ入れを見送りました。
(そうや、なにがおきてもだまってついてこい、そういわはった)
 そうしてまた、しばらくすると、ウマからおりた和尚さんがいいました。
「ここらで、いっぷくしよか」
 道ばたの石にこしかけた和尚さんが、タバコ入れをさがします。
「はて? タバコ入れがないぞ。おまえ、落ちたのに気づかなんだか?」
 小憎さんは、口をモゴモゴさせて、あわてて手でおさえました。
「なんや、ハッキリいうてみい」
「へえ、二つめの川で、ウマがちょいとこけたとき、ポチャンと落ちてプカプカ流れていきました」
「なんでひろわないのや!」
「ひろおうと思うたけど、なにがおきてもだまってついてこいて、えらいおこられましたやろ。ほんで」
 和尚さんはあきれかえって、小憎さんをどなりつけました。
「ばかもん! これからは、ウマから落ちたもんがあったら、なんでもひろうんや、ええな!」
「へ〜い」
 いまさらどうしようもないので、二人は一休みすると出発しました。
 パカッパカッ。
 法事のある家までは、まだまだ長い道のりです。
 そのうち、和尚さんが乗ったウマが、おしりから、ポタポタ、ポタポタと、なにやら落としはじめました。
 小僧さんは、(ウマから落ちたもんがあったら、なんでもひろうんや)といった和尚さんのことばを思いだし、
「けど、どうしてひろうたらええやろ。・・・そうや!」
 小僧さんは、ウマのすぐ後ろまで走っていって、持っていたかさをひろげると、
「よいしょっと」
 落ちるフンを、かさでうけとめました。
「ほい、やっ。こらよっ。和尚さま、ウマから落ちたもんがいっぱいで、もう持てません」
「なんやて?」
 ふりむいた和尚さんは、もうビックリ。
「ばかもん! 大切なかさで、そんなもんを! ぜ〜んぶ川にすててくるんや!」
「でも、ウマから落ちたものは、なんでもひろえと、和尚さまがいわはった」
「ばか正直にもほどがある。はよう! きれいさっぱり流してこい」
「へ〜い!」
 小僧さんは、あわてて川のほうへ走っていき、川でかさをあらいながら首をかしげていました。
「和尚さまのいわはるとおりしとるのに、なんでしかられるんやろ」
 そのとき、きれいに洗ったかさの中に、川を泳いでいたアユが入ってきました。
 川岸で見ていた和尚さんは、そのアユがほしくてたまりません。
「ほほう、みごとなアユじゃ。小僧のやつ、あのまま持ってくればよいが」
 和尚さんがそう思っているのも知らず、小僧さんは、
「きれいなおかみすりやあ。けど、和尚さまはぜんぶ川にすててこいといわはった。そうや、かさもぜんぶすてなくちゃいかんのや」
と、かさをポーンと投げすててしまいました。
 かさは川のまん中に落ちて流れていきます。
「和尚さま、おいいつけどおり、ぜんぶ流しておきましたあ」
「ああ、わしのこうぶつのアユばかりか、大切なかさまでも。とほほほ」
 かさはドンドンながれていって、ついに見えなくなりました。

おしまい

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