ブルブルふるえる 日本のこわい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本のこわい話(百物語) > 朗読 > ゆうれいのしかえし
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 百物語の朗読

・ 日本のこわい話(百物語)

→  1話  〜  10話
→ 11話  〜  20話
→ 21話  〜  30話
→ 31話  〜  40話
→ 41話  〜  50話
→ 51話  〜  60話
→ 61話  〜  70話
→ 71話  〜  80話
→ 81話  〜  90話
→ 91話  〜 100話
- 広 告 -
 


百物語 第十七話

ゆうれいのしかえし

ゆうれいのしかえし

 むかしむかし、ある村に、みすぼらしいたびの坊さんがやってきました。
 日もくれてきたので、どこかにとめてもらわなくてはなりません。
 坊さんは、庄屋(しょうや→詳細)さんの門をたたきました。
「どうか、ひとばん、とめてください」
 すると、庄屋さんは、
「きのどくだが、とめられん。じつは、このあいだ、たびの男をとめて、だいじなものをとられてしまった。たとえ坊さんでも、たびのものはとめないことにした。さあ、はやく立ち去れ」
と、門をしめてしまいました。
「それでは、しかたがない」
 坊さんがトボトボあるいていくと、はかばがありました。
 はかばには、あたらしい土まんじゅうができています。
「もうしわけないが、ひとばん、ここでごやっかいになりましょう」
 坊さんは土まんじゅうをおがんでから、それをまくらによこになりました。
 むかしは人がなくなると、おはかにかんおけをうずめ、そのうえに、こんもりと土をかけて、おはかにしたのです。
 そのかたちが、まんじゅうににているところから、『土まんじゅう』といったのです。
「どんな人がなくなったのかなあ?」
 坊さんが、そんなことをおもいながらねむりにつくと、真夜中(まよなか)になって、白いきものをきた男のゆうれいがあらわれました。
「もしもし、お坊さん」
 坊さんは、そのこえにハッと目をさましました。
「あなたは、ゆうれいですか?」
「はい。くやしいことがあって、あの世へゆけないでいます」
「さしつかえなければ、わけをうかがいましょう」
「はい、ぜひとも。わたしは、この村の庄屋さんのやしきにはたらいていたものです。ついこのあいだ、やしきにどろぼうが入りました。庄屋さんは、どろぼうがつかまらないはらいせに、『おまえがどろぼうをやしきにひきいれたのだろう。そんなやつはゆるせん』と、わたしにつみをかぶせて、刀できり殺したのです」
「そりゃあ、ひどい!」
「わたしは、なんとかしてしかえしをしようと、まいばんゆうれいになって、やしきにいくのですが、やしきのほうぼうに、まじないふだがはってあるため、中に入ることができません。なにとぞ、まじないふだを、一まい、はぎとっていただけないでしょうか」
 ゆうれいは、なみだを流しながら手をあわせました。
 坊さんも、ながいことたびをかさねてきましたが、ゆうれいにたのみごとをされるのは、はじめてです。
「よし、おやすいことだ。つみもないあんたをころすなんて、とんでもないやつ。すぐにいって、まじないふだをはがしてやろう」
 坊さんは庄屋さんのやしきへとってかえすと、入り口にはってあるまじないふだを一枚、ペッとはがしてやりました。
「ありがとうございます」
 ゆうれいが、そこから入っていったので、坊さんがかくれてようすをみていると、
「たすけてくれえ! ゆうれいだー!」
 庄屋さんのさけひごえがしたかとおもうと、
「たいへんだー! だんなさまがゆうれいにおどろいて、いのちをおとされたぞ!」
 やしきの中は、えらいさわぎになりました。
「これでゆうれいも、まよわず、あの世へゆけよう」
 坊さんは、しずかにたちさっていきました。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診