なみだがポロリ 日本の悲しい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本の悲しい話 > 舞扇
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 日本の悲しい話 (全30話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
- 広 告 -
 


日本の悲しい話 第7話

舞扇

舞扇

 むかしむかし、京の都に、名の高いおどりの師匠(ししょう→せんせい)がおりました。
 そのおおぜいの弟子(でし)のなかに、雪江(ゆきえ)という、けいこねっしんな娘がいって、一本の舞扇(まいおうぎ→日本舞踊に使う扇で。普通の扇より大きく、流儀の紋などをえがいたもの)を、たいそうたいせつにしていたのです。
 なんでも、雪江が父にせがんで、名高い絵師(えし→絵描き)にかいてもらったとかで、いまをさかりと咲いている桜の花をえがいた、それはまことにみごとな扇でした。
 ある日のこと。
 どうしたことか、雪江はこの扇をけいこ場にわすれてかえったのです。
 師匠は、あしたきたらわたしてやろうと、自分の机の上におきました。
 ところがつぎの日、めずらしく雪江はけいこにきませんでした。
 そしてつぎの日も、またつぎの日も。
 師匠は、なにやら心にかかって、ふと机の上の扇をひろげてみました。
 そこには、扇面(せんめん→扇を開いた面)いっぱいに、あかるく花が咲いています。
 そこへちょうど、友だちの占師(うらないし)がたずねてきました。
「ごらんなされ。優雅(ゆうが)なものじゃ」
 師匠が、ひろげたままの扇をわたすと、
「ほほう、これは美しい。・・・?」
 友だちの占師は、しげしげとながめていましたが、しばらくして、
「お気の毒ですが、この花は、今日中に散りますな」
 友だちがかえったあとも、師匠はその扇を、ジッとながめていました。
(今日中に散るとは、いったい?)
 占師のことばが気になって、夕やみのせまったへやに、いつまでもすわっていました。
「お食事でございます」
 妻の声にハッとして、師匠はひらいた扇を持ったまま立ちあがりました。
 すると、ハラハラと、白い花びらが散りました。
 花びらは、あとからあとから散って、風もないのに、チョウが舞うように、空へ舞いあがっていきます。
「おお、これは!」
 おどろいて夕ぐれの光にかざして見ると、扇のおもてには、もう、花のすがたはひとひらものこっていませんでした。
 そこにあるのは、ただの白い舞扇。
 師匠は、雪江の家にカゴ(→詳細)をいそがせました。
 カゴが玄関につくと、母親があらわれて、
「娘は、ほんのさきほど、息をひきとったところでございます。どうぞこちらへ」
 案内された奥の間には、雪江がしずかにねむっていました。
 そしてそのへやは、あの桜の花びらでいっぱいでした。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診