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百物語 第四十五話

鬼がっ原の一つ目

鬼がっ原の一つ目(→詳細)

 むかしむかし、でっち(→住み込みではたらく子供)の長吉(ちょうきち)が、鬼がっ原のむこうまで、つかいにいくことになりました。
 鬼がっ原は、ばけものがでるとひょうばんの原っぱです。
 長吉は、重いふろしきつつみをしょってでかけましたが、日はくれかかってくるし、なにやら心細くてたまりません。
 すると、
 ピタピタッ、ピタピタッ
 うしろから、きみょうな音がきこえてきました。
 長吉が足を止めると、一ぴきのイヌが、足もとを走りぬけていきました。
(なんだ。イヌか)
 イヌは、むこうの大きな柳(やなぎ)の木のところまでいくと、きゅうにとまりました。
 ちっとも気がつきませんでしたが、前から、きれいな着物をきた小さな女の子が歩いてきます。
 イヌは、しきりにその女の子の足のまわりをうろつきます。
「しっ! しっ!」
 女の子がいくら追っても、イヌはしつこくかぎまわって、そばをはなれません。
 そのうちに、
 ウウッー! ウウッー!
 イヌは、うなり声をあげました。
 女の子が、おびえたように立ちどまると、イヌは前にまわって、はげしくほえつきました。
 女の子はこわくなって、とうとう、泣きだしてしまいました。
(おやおや、かわいそうに)
 長吉は、いそいで近づくと、持っていたかさをふりあげて、イヌを追い払いました。
 イヌはビックリしたようにとびのくと、長吉をジッとみつめていましたが、どこかへいってしまいました。
「ありがとう」
 女の子が、すこしふるえた声で礼をいいました。
 だいぶ暗くなっていたので、女の子のかおはよく見えませんが、とうふをのせたおぼんを大事にかかえています。
「たったひとりで、鬼がっ原のとうふ屋まで、いってきたのかい?」
 聞くと、女の子はコクンとうなずきます。
(まだ小さいのに、かんしんなもんだ。この原っぱには、おばけがでるというのに)
 長吉は心の中でつぶやいて、女の子のうしろを歩きました。
 やがて雨がふってきたので、長吉はかさをひらくと、女の子にさしかけてやりました。
「うちは、どこなの?」
「あの橋の、すぐむこう」
「じゃあ、おんなじ方角だ。いっしょにいこう」
 橋をわたり、竹やぶへ入ると、わらぶきの小さな家がありました。
 女の子の家です。
「じゃ、さようなら」
 長吉がいうと、女の子も、
「さようなら」
 そういって、顔をあげました。
「あっ!」
 なんとその顔には、ひたいのまん中に、大きな目が一つあるだけでした。

おしまい

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