ゲラゲラわらう 日本のわらい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
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日本のわらい話 第25話

サルとヒキガエル

サルとヒキガエル

 むかしむかし、サルとヒキガエルが、山のなかであいました。
「ヒキガエルさん、もうすぐ、おしょうがつだね。きみのところはおもちをついたの」
「ううん、まだだよ。おもちはうまいね。たべたいね」
「おもちのあるところなら、しっているよ。いっしょにいかないか?」
「うん、いくいく」
 二匹は、山をおりました。
 村の庄屋(しょうや→詳細)さんのうちで、ペッタン、ペッタン、おもちをついていました。
「あれをとろうよ。ヒキガエルさん。ぼくが庄屋さんのうちへ入ってまっているから、きみは、池へとびこむのだよ。ドブンとね。いいかい?」
「いいよ、わかったよ」
 ヒキガエルは、池のほうへはっていきました。
 サルは、庄屋さんのうちへ入りました。
 ヒキガエルが、池へとびこみました。
 ドブン!
 大きな音がしました。
 おもちをついていた人たちが、
「なんだなんだ」
と、おもてへとびだしました。
 うちのなかは、からっぽになりました。
 サルが顔をつきだして、
「しめしめ。おもちをもらっていくよ」
 臼(うす)のまま、うら口からかかえだしました。
 ヒキガエルは、池からにげだしました。
 うんこらさ、うんこらさ。
 サルは、うすを山の上まではこび、ひとやすみしていました。
 ノソリノソリと、ヒキガエルがやってきました。
「ああこわかった。もうすこしで、つかまるところだったよ。ようやくここまでにげてきた」
「ごくろうさま。うまくいったよ、このとおり」
 サルはうすをみせると、白いおもちが、ペッタリとはりついていました。
「つきたてのおもちはうまそうだね。さあ、サルさん。二人でとったおもちだから、はんぶんずつわけようじゃないか」
 すると、サルは、くびをよこにふって、
「そんなのおもしろくないよ。きみかぼくか、どっちか一人にきめようよ」
「それなら、ぼくがもらうよ」
「だめだめ。そんなのだめ」
 サルは、うすをひっこめました。
「こうしよう、うすをここからつきおとそう。うすは、下までころがっていくよ。一、二の三ではしっていって、さきにそこまでいったものがかち。かったものが、ぜんぶたべるのさ」
「そんなのやだ。ぼくは、ノソリノソリゆっくりだもの。サルさんにはかなわないよ。ねえ、そんなこといわないで、なかよくはんぶんずつわけてたべよう」
「だめだめ。もうきまり。一、二の三」
 サルはいきなり、うすをつきとばしました。
 コロコロコロ。
 うすは、さかをころがっていきました。
 サルは、すばやくかけだしました。
 小さな木などはとびこえて、大きな木は、えだからえだへとびうつって、うすよりもさきに、ふもとへつきました。
「さあこい!」
 りょう手をひろげて、うすのころげてくるのをまっていました。
 コロコロコロ。
「いまだ!」
 サルは、うすにとびつきました。
「ぼくのかち。おもちは、ぼくのものだ」
 こういいながら、うすのなかをのぞいてビックリ。
 うすはからっぽでした。
「わかった、どこかへおちたんだ。ひろってこよう」
 サルは、山をのぼりました。
 とちゅうで、ヒキガエルにあいました。
「あれっ、ヒキガエルさん。・・・ああっ!」
 ヒキガエルは、大きなおもちのかたまりを、大きな口でアングリ、アングリ、たべていました。
「おや、サルさんですか」
 ヒキガエルはサルのほうをむいて、またアングリと、とてもおいしそうにたべました。
「うまいよ、サルさん。ぼくが、ここまでおりてきたら、そこの木のきりかぶに、おもちがひっかかっていたのさ。ぼくがくるのをまっていたんだね。つきたてのおもちは、やわらかくてうまいね」
 また、アングリとたべました。
 サルは、たべたくてたべたくて、しかたがありません。
「ヒキガエルさん。なかよくしようね。ぼくもすこしたべたいな」
「だめだめ。やくそくだから、ぼくひとりでたべる」
 また、アングリとたべました。
「そう。だけどね、ヒキガエルさん」
 サルは、おもちの下のほうをゆびさしました。
「そっちより、こっちのほうがうまいんだよ。こっちのほうから、たべればいいのに」
「どっちからでもいいじゃないか」
 ヒキガエルは、もう一ど、アングリとたべました。
「ぼくのおもちだもの。ぼくのすきなほうからたべるのさ。きみは、そこでみておいで」
「そっちより、こっちがうまいのになあ」
 ヒキガエルが口をうごかすたびに、サルも口をモグモグさせました。
 でも、ヒキガエルはしらん顔。
 アングリ、アングリと、ひとりでおもちをたべました。
 サルも、さいしょから半分こしていれば、よかったのにね。

おしまい

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