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3月8日の日本民話

テングの鼻いれ穴

テングの鼻いれ穴
栃木県の民話

 むかしむかし、日光(にっこう)には、たくさんのテングがすんでいました。
 ある年のこと、新しく日光をおさめる座主(ざす→一番位の高いお坊さん)が決まって、はるばる京の都からやってくるという知らせが日光にとどきました。
 修行者や土地の人たちも、新しい座主がやってくることを喜んで、むかえる準備にとりかかりました。
 そして日光の山にすむテングたちも、新しい座主を歓迎(かんげい)することにしました。
 そして位の高いテングたちが一列に参道(さんどう)にすわって、新しい座主をむかえることにしたのです。
 ところが、こまったことがおこりました。
 テングたちの高い鼻が地面にぶつかってしまい、すわって頭を下げることができないのです。
 まさか鼻を切り落とすこともできませんし、どうしたらよいかとテングたちはいろいろ相談をしました。
 そして、ある名案がうまれました。
 テングたちは参道のはしに深さが三十センチばかりの穴をいくつもほり、その穴の前にならんですわり、頭をふかくさげたときに穴の中に鼻が入るようにしたのです。
 こうしてテングたちは参道のはしに一列にならんですわり、うやうやしく頭をさげて新しい座主をむかえたのでした。
 今でも日光には、この穴のあとが残っているという事です。

おしまい

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