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日本のわらい話 第44話
ヘビがカエルをのむわけ
大分県の民話
むかしむかし、神さまが世界中の生き物をつくったのですが、どの生き物もつくったばかりで、何を食べさせるのかまだ決めていませんでした。
生き物たちは何を食べていいのかわからないので、おなかがペコペコです。
そこで生き物たちは、かわるがわる神さまのところへ行って、
「早く、食べ物をきめてください」
と、おねがいしました。
すると、神さまが、
「明日の朝、食べ物をきめてやるから、みんな集まるように」
と、おふれを出しました。
よろこんだ生き物たちは、夜の明けるのを待って、神さまのところへ出かけました。
さて、ヘビがノロノロとはっていると、後ろからカエルがやってきました。
「なんだなんだ、地べたをノロノロとみっともない。もう少しはやく進めないのかね」
「そんなこと言っても、おなかがすいて、目がくらみそうだよ」
ヘビが力のない声で言いました。
「ふん。そんなにノロノロしていては、昼になってしまうぞ。まあ、お前は後からやってきて、おれのおしりでもなめるんだな」
カエルはヘビをバカにして、ピョンピョンとんでいきました。
生き物がみんな集まると、神さまは次々に呼び出して、それぞれの食べ物をきめました。
でも、カエルは、なかなか呼ばれません。
怒ったカエルは、神さまの前に飛び出して言いました。
「早くわたしの食べ物をきめてください。わたしが一番先にやってきたのですよ」
神さまは、うるさいカエルをジロリと見て言いました。
「よし、お前は虫を食べるがよい」
「えっ? わたしの食べ物は虫ですか!?」
カエルは、ガッカリです。
それでも食べ物がきまったので、ホッとして帰ろうとすると、神さまが言いました。
「待て。お前にはもう少し言うことがある。お前はここへ来る時、ヘビをバカにして、おしりでもなめろと言ったであろう」
「まあたしかに。だってそれは、ヘビがあまりにもノロマですから」
「いいわけはよろしい。のぞみどおりに、これからはヘビにお前のおしりをなめてもらうことにしよう」
「とっ、とんでもない!」
カエルはビックリして反対ましたが、神さまは許してくれません。
その時から、ヘビはカエルを見つけると、すぐにおしりから飲み込んでしまうのです。
おしまい
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