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日本の悲しい話 第15話

山びこになった男の子

山びこになった男の子
鹿児島県の民話

 むかしむかし、あるところに、男の子がいました。
 男の子はお父さんとお母さんの三人でくらしていましたが、お母さんが病気になって死んでしまったのです。
 そこでお父さんは男の子のために、新しいお母さんをもらうことにしたのです。
 ところが新しいお母さんはとてもいじわるで、男の子がにくらしくてたまりません。
 毎日毎日、出来もしないほどたくさんの仕事を言いつけては、男の子をこまらせていたのです。
 ある日、お母さんは、
「山へ行って、つる草を取ってこい!」
と、言いました。
 つる草というのは、ほかの木にまきつく草のことです。
 男の子は色々なつる草を取って、家に帰りました。
 ところが、お母さんは、
「このマヌケ! わたしが取ってこいと言ったのは、こんなつる草じゃない!」
と、言って、男の子を山へ追いかえしてしまいました。
 男の子は暗くなるまで山の中を歩きまわり、前よりもたくさんのつる草を持って帰りました。
 それでもお母さんは、
「このマヌケ! わたしが取ってこいと言ったのは、こんなつる草じゃない!」
と、言って、せっかく取ってきたつる草をみんなすててしまうのです。
 それからというもの、男の子は毎日毎日、朝早くから山へ行ってつる草を取りました。
 でも、どんなつる草を持って帰ってもお母さんは、
「このマヌケ! わたしが取ってこいと言ったのは、こんなつる草じゃない!」
と、言って、男の子を山へ追いかえします。
(どうして? どうしてお母さんは、こんな仕事ばかり言いつけるの)
 悲しくなった男の子が山の中でないていると、まっ白な髪を長くたらしたおじいさんがやって来て、
「どうした? なぜないているのかね?」
と、たずねました。
 そこで男の子は、これまでの事をくわしく話しました。
 すると、おじいさんが言いました。
「よし、よし、そんなお母さんのところへなんか、もう帰らなくてもいい。今日からお前を山の神さまにしてあげよう」
と、言って、男の子を山びこにしてくれたのです。
 山びこになった男の子は、毎日、山の中を走りまわり、人の言葉をまねたり、イタズラをして遊ぶようになりました。
 山に向かって、
「ヤッホー!」
と、言ったら、
「ヤッホー!」
と、返事をする山びこです。
 山の道を歩いていて、突然バラバラと砂がふってきたりするのも、みんな山びこのしわざなのです。
 また、山で働く木こりが木を切っていると、ふいに後ろから、メシッ、メシッと、木の倒れる音もおこすのです。
(なんだ、また山びこのイタズラだな)
 そこで、山びこになった男の子を知っている木こりが言いました。
「山びこよ。イタズラをするのはおよし。せっかく山の神さまにしてもらったのに。また、あのおっかさんのところへ帰りたいか?」
 すると山びこはむかしのことを思い出して悲しくなり、すぐにイタズラをやめるのだという事です。

おしまい

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