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日本のわらい話 第46話

干しな経

干しな経
兵庫県の民話

 むかしむかし、ある家で、法事(ほうじ→身近な人の死んだ日に、みんなで集まってお経をあげたり、お墓参りすること)をすることになりました。
 そこで、お寺へお坊さんを呼びにいきましたが、お坊さんが留守(るす)で小僧(こぞう)さんしかいません。
 でも小僧さんなら、お経ぐらいよむことができます。
「小僧さん、わたしの家へ法事にきてください」
「はいはい、わたしでよかったら、すぐまいります」
 小僧さんはさっそく、お坊さんの衣を着てやってきました。
「では、はじめさせていただきます」
 小僧さんがおじぎをして、さて、お経をよもうと思ったら、ふところにお経の本がありません。
 あわててやってきたので、持ってくるのを忘れてしまったのです。
 この小僧さんは、まだ本がなくてはお経がよめません。
(こりゃ、こまったぞ)
 そう思って窓の外を見ると、軒下(のきした)になっぱの束(たば)がほしてありました。
 小僧さんは、いかにもお経のように、その数をかぞえはじめました。
「一れん、二れん、三れん、四れん、ああ、五れん、六れん、・・・」
 一れんというのは、なっぱをつるしてある一本のナワのことで、一れん、二れんとかぞえます。
 小僧さんはなっぱの束をかぞえ終わると、またはじめから、
「一れん、二れん、三れん、四れん、・・・」
と、そればっかりです。
 窓の外でそれを聞いていた子どもが、小僧さんに言いました。
「小僧さん、それ、なんというお経じゃ」
「これは干しな経といって、とてもありがたい、お経じゃ」
「へえ、そんなら、あっちにもまだ、二、三れん、つってあるよ」
 すると小僧さん、
「いや、それはこの次に来たとき、よむつもりじゃ」
と、言ったという事です。

おしまい

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