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日本のわらい話 第48話
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もちはこわい
山梨県の民話
むかしむかし、ある山の村のむこさんが、はじめて山をおりて嫁さんの家へ行きました。
嫁さんの家では、むこさんにごちそうしてやろうと、おもちをつきはじめました。
するとそこへ、近所の家の小さい子どもがやってきたので、家の人が、
「これはこわい物だ、あぶないから、あっちへいっていろ」
と、いったのです。
それを見ていたむこさんは、おもちが本当にこわいものだと思いました。
「さ、できた。遠慮しないで、どんどん召し上がってください」
そういって、おかみさんがお皿に乗せて持ってきたものは、おもちをあんこでくるんだぼたもちでした。
それを見たむこさんは、
(やや、なんてまっ黒いものなんだ。これはきっとバケモノにちがいない)
と、思って、ガタガタとふるえたまま食べないでいました。
するとおかみさんは、むこさんがお腹いっぱいなのだと思い、帰るときにそのぼたもちをふろしきにつつんで、お土産に持たしてくれました。
むこさんはそのぼたもちをつつんだふろしきがこわくて、長い竹ざおをひろうと、その竹ざおのさきにふろしきをぶら下げてかえることにしました。
ところが、だんだんとふろしきが下へおりてきて、むこさんの背中にペタリとぶつかったのです。
「ウヒャーーーァ! まっ黒のバケモノが背中にかみついた!」
むこさんは竹ざおを投げ捨てて、ふろしきからこぼれだした一つをふみつけました。
すると中から、白いおもちが出てきました。
それを見たむこさんは、よけいにビックリして、
「バケモノが、歯をむいてきただ!」
と、言って、そのまま家まで逃げ帰ったという事です。
おしまい
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