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日本のわらい話 第49話
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ヒョウのかわのやね
佐賀県の民話
むかしむかし、唐津(からつ→さがけん)の町に、かんねどんとよばれている変わり者がいました。
ある日の事、かんねどんが近くの村に出かけていくと、りっぱな家をたてているところにぶつかりました。
「柱も太いし、よい家じゃ」
「まるで、御殿(ごてん)のようだ」
村の人たちがあつまって、みんなで家をほめています。
かんねどんもそう思いましたが、かんねどんはへそまがりだったので、
「こんな家が御殿ようじゃと? おれの家など、ヒョウのかわで、やねをふいてあるわい」
と、いばって言いました。
「へえ、ヒョウのかわでやねがふいてあるとは豪勢(ごうせい)じゃのう。ぜひとも見せてもらいてえ」
「いいとも、いいとも。ついてくるがいい」
かんねどんは、村の人たちを家へ連れてきました。
「これがそうだ。よくみろ」
かんねどんは、たわらをかぶせただけの、とてもそまつな家を指さして言いました。
「おいおい、これのどこがヒョウのかわだ」
「おんぼろだわらではないか。バカにするな!」
村の人たちがさわぐと、かんねどんがいいました。
「米のたわらをかぞえるとき、村では一俵、二俵というじゃろが。つまり、俵(たわら)とかいで、ひょうとよむ。そのひょうのかわで、やねがふいてあろうが」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
村の人たちは、あっけにとられて何もいえませんでした。
おしまい
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