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日本のわらい話 第37話

お花とごんべえ

お花とごんべえ
福島県の民話

 むかしむかし、ある村にお花というキツネと、こんベえというタヌキが住んでいました。
 二匹とも、化けるのがとても上手です。
 ある日の事、お花とごんベえが道でバッタリと出会いました。
 ごんべえは、わざとていねいに言いました。
「お花さんは化けるのがとても上手だそうだけど、おいらとどっちが上手かな?」
「さあ? どっちが上手か、化け比べをしてみないとわかんないわ」
 それを聞いたとたん、ごんベえがはらを立てました。
「よし、そんならどっちが上手か、化け比べをしよう」
「いいわよ。明日の晩、お宮さんの境内(けいだい)へきてちょうだい」
 お花はそれだけ言うと、帰っていきました。
(女のくせに、なんてなまいきなキツネだ。見ていろ。かならず負かしてやる。・・・だが、何に化けたらいいのだろう?)
 ごんべえは何に化けたらお花に勝つか、いっしょうけんめい考えました。
 なにしろお花の化ける花嫁姿ときたら、ごんべえもほれぼれするぐらいきれいで、いつも人間の娘さんとまちがえてしまいます。
 それに化けるのが上手なごんべえでも、男なので花嫁姿にだけは化けることができません。
 さて、キツネのお花はというと、
「ごんべえったら、どうせわたしに勝てっこないのに。まあいいわ。もう二度と化け比べをしようなんか言い出せないようにしてやる」
と、言って、何度も何度も花嫁姿に化ける練習をしました。
 さて、いよいよ化け比べの夜がきました。
 お花はさっと、花嫁姿に化けました。
 練習をしただけあって、とても美しい花嫁姿です。
 そしてお花は、本物の花嫁みたいにはずかしそうにうつむきながら、お宮さんへ行きました。
 ところが鳥居(とりい)をくぐろうとして、ふと下を見ると、ホカホカとゆげのたっているまんじゅうが落ちているではありませんか。
 お花は、思わずつばを飲みました。
 あたりを見回してみましたが、ごんべえはまだきていないようすです。
(今のうちだわ)
 お花は急いでまんじゅうをひろって、口の中へ入れようとしました。
 そのとたん、まんじゅうがパッとタヌキに変わったのです。
「あははははは。なんだ、いくら美しい花嫁に化けても、やっぱりくいしんぼうのキツネだなあ」
 はずかしくなったお花は花嫁姿に化けているのもわすれて、しっぽを出したまま逃げてしまいました。

おしまい

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