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百物語 第六十八話

ろくろっ首

ろくろっ首
静岡県の民話

♪音声配信
スタヂオせんむ

 むかしむかし、旅から旅を続ける一人の男がいました。
 ある日の事、日がくれてきたので、男は浜松(はままつ→静岡県南西部)の近くにある村の宿屋にとまることにしました。
 その夜はあいにく、とまり客がたくさんいました。
 そこで男は美しい女の旅人と一緒に、一つの部屋のまん中にびょうぶをたてて、一夜をすごすことになりました。
 夏の夜だったので、いつまでたってもむし暑く、ねむたくてもなかなかねむれません。
 男は夜ふけになって、やっと、うとうとしはじめました。
 びょうぶの向こうでねている女の人も、やはりねむれないのでしょうか。
 いつまでもモゾモゾしていましたが、そのうちに急に起き上がる気配がしました。
(はて。便所にでもいくのかな?)
 男はそう思いましたが、けれども、となりはすぐに静かになりました。
 ところがしばらくすると、びょうぶの向こう側から、生あたたかい風が吹いてきました。
 そして女の人の白い顔がびょうぶの上にのびあがって、フワフワと部屋の中を動き始めたのです。
 男はビックリして、ゴクリと息を飲み込みました。
(さては、となりの女はろくろっ首だな)
 男はねたふりをしながら、くらい部屋の中を動きまわる女の白い首を見ていました。
 女の首は男の足もとの方へいったかとおもうと、びょうぶの上をつたわって、天井の方へものぼっていきます。
 細くなった白い首が、クネクネとのびていきます。
 男はろくろっ首が少しでも悪さをしたら、飛びかかっていって長い首をひきちぎってやろうと思いましたが、けれどもろくろっ首は、何も悪さをしません。
 ただフワフワと、楽しそうに部屋の中を動きまわっているだけでした。
 だけどそのうちに、女の白い首は半分開いた雨戸(あまど)の間から、するりと外へ抜け出していきました。
(はて。どこへいくのだろう?)
 どうせねむれないので、男は頭をあげると、ろくろっ首がのびていくあとを追って、雨戸の間から外へ出て行きました。
 美しいろくろっ首は、宿屋の前のとおりをよこぎって、お地蔵(じぞう)さんのたっている林の中へ入っていきました。
 そして林の奥にある池のほとりまでフワフワのびていくと、ヘビのように長い舌を出して、池の水をペロペロとなめはじめたのです。
(なんだ、水を探していたのか。のどがかわいていたので、こんなところへ水を飲みにきたのだな。そういえば、おれものどがかわいたな)
 そっとあとをつけてきた男は、木のかげにかくれてゴクリとのどをならしました。
 そのとき、水を飲んでいたろくろっ首が男の方を向いて、ニヤリと笑ったのです。
(しまった。見つかったかもしれん)
 男は急いで宿屋へもどり、また雨戸の間から部屋の中に入ると、なにくわぬ顔をしてねむってしまいました。
 さて、次の日の朝の事です。
 男より早く目を覚ました女が、びょうぶのかげから男に声をかけてきました。
「昨日の晩は、ずいぶんむし暑かったですねえ。よくねむれましたか?」
「まったく。本当に、むし暑かったですなあ」
 男はそう答えながら、ふとんをかたづけて、びょうぶをとりのぞきました。
 女の人はカガミに向かって、髪の毛をととのえていました。
「暑かったけれど、昨日は疲れていたのか、わたしはぐっすりとねむって、夢一つ見ませんでした」
 男はわざと、とぼけた事をいいました。
「あら、そうでしょうか? あなたさまは不思議な事をなさいましたが」
 女の人は口もとに手をあてて、笑いをおさえながらいいました。
「はて。わたしが不思議な事を? それは、どういうことですか? 不思議な事をしたのは、むしろあなたではないですか」
 男が少し怖い顔で言い返すと、
「あら、わたしが不思議な事? わたしがいったい、何をしました?」
と、いうのです。
「それなら、いってやりましょう。あなたは美しい顔をしているが、じつはろくろっ首で、この部屋の雨戸から抜け出して、むかいの林の中にある池へ水を飲みにいったではないですか!」
 すると女の人が、ケラケラと笑いながらいいました。
「あなたさまは、ご自分の事に気づいてないのですか?」
「なにをです!」
「この部屋は、二階ですよ」
「・・・あっ!」
「ようやく気がついたのですね。あなたさまが首をどんどんと長くのばして、ずっとわたしのあとをつけてきたことを。夜中にこっそり女のあとをつけるなんて、あまりいいご趣味とはいえませんね」
「・・・・・・」
 男はこの時はじめて、自分もろくろっ首であることに気づきました。
 女のろくろっ首はニコニコ笑いながら、男のろくろっ首にいいました。
「ここでこうして出会ったのも何かの縁。どうです。似た者同士、これから旅を続けませんか?」
「・・・いえ、せっかくの申し出ですが」
 男は急いで旅のしたくをすると、どこへともなく去っていったという事です。

おしまい

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