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日本のとんち話 第45話
ネズミをたいじするには
高知県の民話
むかしむかし、たいさくという、とんちの名人がいました。
ある日の事、町へ行っての帰り道で、日がくれてしまいました。
でも、どこの家へ行ってもとめてはくれません。
そこで、おばあさんが一人で住んでいる家をさがして、
「今夜一晩、とめてくれ」
と、たのみました。
すると、おばあさんは、
「うちにはネズミがドッサリといて、とてもねていられないよ」
と、言いました。
「なに? ネズミだと。ネズミならわしが一匹のこらず退治してくれよう」
たいさくは、胸をたたきながら言いました。
「そいつはありがたい。さあ、えんりょせずにとまっていっておくれ」
喜んだおばあさんは、たいさくを家にあげると、お酒やごちそうまで出してもてなしてくれました。
なるほど、おばあさんの言うように、ネズミが天井うらを走りまわっています。
でもたいさくはお酒をたくさん飲んで、ぐっすりとねむりこんでしまいました。
さて、翌朝、たいさくが急いで帰ろうとするので、おばあさんがあわてて言いました。
「お前さん、ネズミ退治はどうした?」
するとたいさくは、すました顔で言いました。
「そんなことは簡単(かんたん)さ。ネコを五、六匹かえばいい」
「ネコをかえだと? ネコをかうことぐらい、わしだって知っている」
おばあさんはカンカンにおこりましたが、たいさく平気な顔で、
「知っているなら聞かなくていい。はい、お世話になりました」
と、言って、さっさと帰っていったのです。
おしまい
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