頭が良くなる 日本のとんち話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本のとんち話 > 暗闇の黒ウシ
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 日本のとんち話 (全50話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
→ 31話 〜 40話
→ 41話 〜 50話
 


日本のとんち話 第25話

暗闇の黒ウシ

暗闇の黒ウシ
埼玉県の民話

 むかしむかし、ある宿屋で、二人の絵かきと江戸から来た男が一緒の部屋になりました。
 三人で話しているうちに、江戸の男が言いました。
「ところで、お前さんたちのお仕事は何ですか?」
 すると一人の絵かきが、胸を張って言いました。
「わしは絵かきじゃ。めずらしい国を旅しながら、絵をかいている」
 するともう一人の絵かきも、胸を張って言いました。
「わしも絵かきじゃ。二人で旅をしながら、美しい景色(けしき)を絵にかいている」
 それを聞くと、江戸の男はくやしくなり、
「それはぐうぜん。実はわたしも絵かきでしてな。江戸では、少しばかり有名ですぞ」
と、うそをついたのです。
 すると、二人の絵かきが言いました。
「それはきぐうだ。それなら、三人で絵のかき比べをしよう」
「それはよい。江戸の絵かきの腕前を見てみたいしな」
 江戸の男は、こまってしまいました。
(これは弱ったぞ。おれは、絵をまるでかけないのに・・・)
 でも、今さらうそだとは言えません。
 そこで江戸の男は、時間かせぎに言いました。
「それじゃ、まずはそちらからかいてもらいましょう」
 そこで最初の絵かきが、さらさらさらと絵をかきました。
 お母さんが小さい子どもにご飯を食べさせている絵で、なかなかに上手です。
 でも江戸の男は、わざとつまらなそうに言いました。
「母親が、口を閉じているのはおかしい。子どもにご飯を食べさせる時は、親も一緒に口を開けるものだ。まだまだですな。それじゃ次の方」
 もう一人の絵かきは、木こりが木を切っている絵をかきました。
 これも、なかなかに上手です。
(さすがに絵かきだ。二人ともうまいもんだ)
 江戸の男は心の中で感心しましたが、でも、やっぱりつまらなそうに言いました。
「これだけ木を切っているのに、木のくずがないのはおかしい。まだまだですな」
 けちを付けられた二人の絵かきは、おもしろくありません。
「それでは、いよいよあなたの腕前を見せてもらいましょう。それだけ言うのですから、さぞかしお上手なんでしょうな」
「うむ。よろしい」
 江戸の男は筆(ふで)にたっぷり墨(すみ)をつけると、紙にぺたぺたぬりつけて、紙をまっ黒にぬりつぶしました。
 二人の絵かきは、ビックリしてたずねました。
「・・・いったい、これは何の絵ですか?」
「ただたんに、黒くぬりつぶしただけのように見えるが」
 すると江戸の男は、すました顔で言いました。
「これがわからぬとは、お二人ともまだまだですな。これは、まっ暗やみから黒ウシが出てきたところです」

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診