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世界の有名な話 第2話

裸の王さま

裸の王さま
アンデルセン童話 → アンデルセン童話の詳細

 むかしむかし、あるところに、とても着物の好きな王さまがいました。
 新しい着物を作っては、それを着て歩くのが王さまの楽しみです。
 ある日の事、服職人を名乗る二人のペテン師がやって来て言いました。
「わたしたちは、とても美しい布をおる事が出来るのです。その布はとても不思議な布で、それで作った着物は、おろか者、つまり馬鹿には見えないのです」
「ほほう。それは面白い。さっそく布をおって、着物を作ってくれ」
 王さまは、うれしそうに言いました。
(その着物を着て歩けば、家来たちが利口者か、おろか者か、すぐに見分けがつくわけだ)
 二人の男は布をおるのに必要だと言って、王さまにたくさんのお金を出させると、熱心に布をおり始めました。
 とは言っても、本当は布をおっている様な、ふりをしているだけなのですが。
「いったい、どんな着物だろう? 早く着てみたいものだ」
 王さまは、その不思議な着物を早く着たくてなりません。
 そこで大臣に言いつけて、着物がどのくらい出来たかを見にやりました。

 さて、布を見に行った大臣ですが、布をおっている二人の男のそばへ行ってみてビックリです。
「???」
 何も、見えないのです。
 ゴシゴシ、ゴシゴシ。
 大臣は目をこすってみましたが、やはり何も見えません。
 それに気づいた二人の男は手を休めると、わざとらしく大臣に言いました。
「やあ、これは大臣。どうです、見事な布でしょう。もうすぐ出来上がりますので、王さまにふさわしい、立派な着物に仕上げますよ」
「いや、あの、・・・うむ、そうだな。確かに見事な布だ」
 大臣はそう言うと、足早に部屋を出て行きました。
「困ったな、王さまに何て報告すれば良いのだろう?」
 大臣は、悩みました。
 大臣は今まで、うそをついた事が一度もありません。
 でも正直に見えないと言えば、自分はおろか者だと言う事になり、下手をすれば大臣をやめさせられてしまいます。
 そこで、王さまの所へ帰ると、
「まことに見事な布です。もうすぐ出来上がって、着物にぬうそうです」
と、うそを言いました。
「そうか、それほど見事な布か」
 大臣がうそを言った事がないので、王さまは大臣の言葉を信じました。
 そして王さまは、その不思議な布を自分でも見たくなり、あくる日、大臣を連れて見に行く事にしたのです。

 二人の男が布をおっている部屋に着いた王さまは、二人の男に声をかけました。
「うむ、二人ともごくろう。して、例の不思議な布は、どこにあるのじゃな?」
 すると二人の男は、大きな布を持ち上げるふりをして言いました。
「王さま、これでございます。どうです、なかなか見事な布でしょう。たった今、完成したのでございます」
「へっ? ・・・」
 何も見えないので、王さまは目をゴシゴシとこすりました。
 それを見た二人の男は、少し意地悪く尋ねました。
「あの・・・、もしかして、この布がお見えにならないとか」
 その言葉にビクッとして王さまは、あわてて言いました。
「いや、そんな事はないぞ。なるほど、確かにこれは素晴らしい布だ。うむ、実に気にいったぞ。さあ、早く着物にぬってくれ。もうすぐ行われるお祭りには、ぜひとも着て歩きたいのだ。あはははははー」

 そしてお祭りの日の朝、二人の男が完成した着物を届けに来て言いました。
「さあ、わたしたちが着物をお着せしますから、王さま、どうぞ裸になって下さい」
 裸になった王さまに、二人の男は出来上がった事になっているその着物を丁寧に着せるふりをしました。
 着せ終わると、そばにいた家来たちは、
「まことによく似合って、ご立派です」
「本当に。それにしても、見事な着物です」
と、口々に褒め立てました。
「そうか、そんなに良く似合うか。あはははははー」
 王さまは、いかにも満足そうに言いました。
「さあ、新しい着物のうわさを聞いて、町の者も早く見たがっておる。すぐに出発させよ」
 王さまは行列をしたがえると、いばって、ゆっくりと歩きました。

はだかの行進

 それを見た大勢の町の人たちは、目を見張りながら、わざと大きな声で口々に、
「何て立派だろう。とても良くお似合いだ」
「さすがは王さま。着物が良くお似合いだ事」
と、言いました。
 本当は、みんな何も見えていないのですが、そんな事を人に知られたら、自分はおろか者だと思われてしまいます。
 その時です。
 行列を見ていた小さな子どもが、笑って言いました。
「わーい、おかしいな。裸の王さまが、いばって歩いているよ」
 その声を聞いた町の人たちも、口々に言いました。
「やっぱり、そうだよな。王さまは、どう見ても裸だよな」
「そうだよ。着物を着ているふりをしているけど、王さまは裸だよ」
「ああ、見えもしない着物を見える様なふりをしていた、自分が恥ずかしい」
 でも、もっと恥ずかしかったのは、ペテン師にだまされて裸で歩いていた事に気がついた王さまです。
 しかし、今は大切なお祭りの途中なので、すぐに行進を止めるわけにはいきません。
 王さまは恥ずかしさのあまり、まっ赤になった顔のまま行進を終えると、逃げる様にお城へ帰って行ったという事です。

おしまい

※ スペインの昔話に「裸の王様」のもとになったお話し、「みえない着物」があります。

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