世界の有名な話 第11話
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イラスト myi ブログ sorairoiro
すずの兵隊
アンデルセン童話 → アンデルセン童話の詳細
ある小さな男の子が、誕生日にすずの兵隊のおもちゃをもらいました。
1本のスプーンを溶かしなおして作ったもので、全部で25人そろっていましたが、そのうちの1人だけは足が1本しかなかったのです。
それと言うのも、この兵隊が一番最後に作られた為、すずが足りなくなってしまったのです。
それでもこの兵隊は、一本足のまましっかり立っていました。
男の子は他に、紙で出来たお城のおもちゃももらいました。
そのお城の入り口には、1人のおどり子が片足を思い切り上げて踊っています。
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「ああ、あのおどり子も一本足だ。ぼくのお嫁さんにちょうどいい」
1本足の兵隊は、おどり子に一目ぼれして、その夜はおもちゃ箱の中で、おどり子から目を離さずに過ごしました。
ところがあくる朝、窓辺に置かれた一本足の兵隊は、
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すきま風で窓が開いたひょうしに、4階から下の道に落ちてしまったのです。
それを通りかかったワンパク小僧が見つけて、新聞紙で作った船に乗せてみぞに流しました。
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「どこへ行くんだろう。はやく、あのおどり子の所に戻りたいな」
はやい波にゆすぶられているうちに、新聞紙の船が破れて、すずの兵隊は水の中へ沈んでしまいました。
さて、それをエサと勘違いしたあわてん坊の魚が、
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すずの兵隊を飲み込んでしまいました。
やがてその魚は漁師に釣られて、それを買ったある家のお手伝いさんが魚のお腹を包丁で切り開いてビックリ。
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「あら、この兵隊は確か・・・」
何と魚が買われていった家は、元の持ち主の男の子の家だったのです。
テーブルには、あのお城も乗っていて、おどり子はあいかわらず足を高く上げていました。
「やあ、ようやく帰って来た。ただいま、おどり子さん」
一本足の兵隊がじっとおどり子を見つめていると、持ち主の男の子が一本足の兵隊をつかんで言いました。
「一本足の兵隊なんて、もういらないや」
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そして燃えさかるストーブの中に、放り込んでしまったのです。
兵隊は自分の身体が溶けていくのを感じましたが、どうする事も出来ません。
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「さよなら、おどり子さん。いつまでもお元気で」
その時、ふいに窓が開いて風が吹き込み、紙のおどり子がヒラヒラと舞い上がるとストーブの中の兵隊のところへ飛び込んできました。
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「やあ、来てくれたんだね。ありがとう、花嫁さん」
やがて紙のおどり子は燃え尽き、すずの兵隊もすっかり溶けてしまって
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ハート型の小さな固まりになりました。
おしまい
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