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        世界のこわい話 第5話 
         
          
         
ゴルゴーンたいじ 
ギリシアの昔話 → ギリシアの国情報 
       むかしむかし、あるところに、アクリシスという王さまがいました。 
  「姫にはやく、まごの王子がうまれますように」 
  と、いのっていると、神さまがあらわれました。 
  「姫には、男の子がうまれる。けれどその子に、おまえはころされるだろう」 
   やがて本当に、男の子がうまれました。 
   おそろしくなった王さまは、赤ん坊をはこにのせて海にながしました。 
   はこは、とおい島につきました。 
   赤ん坊のぺルセウスは、漁師にひろわれて、だいじにそだてられました。 
   ペルセウスは、かしこくつよい若者になりました。 
   あるとき島の王が若者たちをよんで、ごちそうをしました。 
  「よいか。こんどみんなで、わしにおくりものをもってくるのじゃ」 
   すると、若者は口々にいいました。 
  「ウシはどうだ?」 
  「それより、りっぱなウマがいいよ」 
  「そうだ、ウマにしよう」 
  「いや、ゴルゴーンの首だ」 
  と、ペルセウスがいいました。 
   それを聞いた王さまが、命令しました。 
  「よし。ペルセウス、すぐにゴルゴーンをうちとってこい」 
   ところが、ゴルゴーンというのは女のかいぶつで、かみの毛はヘビになっていて、見たものは石にされてしまうといわれています。 
  「ゴルゴーンのいどころは、だれもわからないんだ。ちょうしにのって、とんでもないことをいっちゃった」 
   こまったぺルセウスが、海のそばでなやんでいると、そこへ、いくさの女神アテナと、旅人の神のヘルメスがあらわれました。 
  「ペルセウス、たてをかしてあげましょう。これにうつして見れば、石になることはありません」 
  「わたしは、空をとべるつばさのクツをかそう。三人でひとつ目のおばあさんのところへいって、さむい魔法の国へいく道をききなさい。ついたら、うつくしい妖精(ようせい)がおまえをたすけてくれるだろう」 
   ペルセウスはよろこんで、空をとんでいきました。 
   山のほらあなの入り口に、おばあさんが三人すわっていました。 
  「あっ、あれだな」 
   おりていくと、たったひとつの目玉を、三人がかわりばんこにうけとっているところでした。 
   ペルセウスは、とびだしていって目玉をとりあげました。 
  「さあどうだ。ぼくがたずねることをおしえないと、目玉はかえしてやらないぞ」 
  「ああ、まっくらだ。なんでもおしえるから、目玉を返しておくれ」 
   おばあさんたちが、さむい魔法の国へ行く道をおしえてくれたので、ぺルセウスは目玉を返してやりました。 
   また空をとんでついたのは、さむい魔法の国です。 
   うつくしい三人の妖精が、手まねきをしています。 
  「みんなとあそびたいけれど、ぼくはかいぶつのゴルゴーンをたいじにいかなければならないのです」 
  「では、ゴルゴーンの国へはやくいけるよう、新しいつばさのクツをかしてあげましょう。ヘルメスからもらった古いクツととりかえなさい」 
  「わたしは、とってもじょうぶなふくろをかしてあげます。ゴルゴーンの首をお入れなさい」 
   三番目の妖精は、皮のボウシをもってきました。 
  「これは、からだが見えなくなるボウシです。これをかぶって、ゴルゴーンをうつのですよ」 
  「ありがとう。みなさん」 
   ペルセウスは海の上を日が沈む方向へ、まっしぐらに飛んでいきました。 
   飛び続けて、世界の果てのしずかな国につきました。 
  「おや? 人間や動物がたくさんいるぞ。でも、みんなピクリともうごかないな」 
   よく見ると、それはみんな石だったのです。 
  「ゴルゴーンのしわざだな。このちかくにいるにちがいない」 
   ペルセウスは魔法のボウシをかぶり、アテナのたてにあたりをうつしながら進みました。 
   海の近くにくるとほらあながあり、そのなかに美しい女がうつりました。 
  「あっ、ゴルゴーンだな。よしよし、みんなねむっているぞ」 
   聞いていたとおりのおそろしいかいぶつで、顔は美しいのですが、髪の毛の一本一本がヘビになっていて、腰から下もヘビの体です。 
  「よし、ねむっている。いまのうちだ」 
   ペルセウスはゆっくり近づくと、持っていた剣を力いっぱいふり下ろし、みごとにゴルゴーンの首を切り落としました。 
   ペルセウスは切り落とした首を妖精にもらったふくろに入れると、そのまま空に飛び上がりました。 
   その後、ペルセウスは生まれた国に帰り、りっぱな王になったということです。 
      おしまい 
         
         
        
       
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