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世界のふしぎ話 第8話
お化けカボチャ
リビアの昔話 → リビアの国情報
むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)さんの家のひろい畑に、カボチャがいっぱいなりました。
その中のひとつに、とても大きくておいしそうなカボチャがなっています。
「どれ、今日はこの大きなカボチャをにて食べよう」
おかみさんがカボチャを持ち帰り、台所で料理を始めようとしたときです。
「助けてください! 料理するのはやめてください!」
おかみさんはおどろいて、あたりを見回しましたが、だれもいません。
おかみさんが、包丁(ほうちょう)をもつと。
「助けてください! 料理するのはやめてください!」
なんとそれは、食べようとしているカボチャの声だったのです。
おかみさんはビックリして、畑にいるお百姓さんのところへ飛んでいきました。
「おまえさん、たいへんだよ! カボチャがしゃべったよ!」
「はあ? 何をねぼけてるんだい。さあ、はやく帰ってごはんのしたくをしておくれ」
「だって、おまえさん! 本当なんだよ、カボチャが」
おかみさんがいくらいっても、お百姓さんは信じようとしません。
おかみさんはしかたなく家に帰り、また台所にいきました。
今度こそ、カボチャが何をいっても、耳をふさいでいようと思いました。
けれど、おかみさんがいないすきに、カボチャはお百姓さんの子どもにばけて、台所でねていたのです。
するとふしぎなことに、その子どもの横から大きなカボチャがころがりおちて、まえにカボチャのおいてあったところでとまりました。
おかみさんは何も知らずに、そのカボチャを小さく切って、ナベにほうりこんでにてしまいました。
そこへお百姓さんが、おなかをすかせて帰ってきました。
「ああ、うまそうないいにおいだ。ところで、ぼうずはどこへいった?」
「子どもなら、台所でねていますよ」
「台所で昼ねとは、おかしなやつだ。さあ、はやくよんでおいで」
おかみさんが子どもをおこしにいくと、さっきまで台所でねていたはずの子どもがいません。
子どものかわりに、大きなカボチャがひとつ、ころがっているだけでした。
「たいへんだよ! あの子がいない! そのかわりに、あれが」
おかみさんが、ふるえ声でカボチャのほうを見ていいました。
お百姓さんもおどろき、大声をはりあげました。
「こら、ぼうず! どこにいる。はやく出てこい!」
すると、子どもがナベのふたをあけ、
「お父さん、ここだよ」
と、出てきたので、お百姓さんはビックリ。
おかみさんも、腰をぬかしてしまいました。
「ぼうず、こりゃいったい、どういうことだい?」
「あのね。ぼくが外で遊んでいたらね。しらが頭のおじいさんがきたんだ。いま、畑のカボチャが食べられたくなくて、おまえに化けて台所でねているから、料理がすむまで帰っちゃいけないよって、いったのさ」
子どもは、つづけていいました。
「そしてもう一度、おじいさんがきたんだ。もう帰ってもいいよって。帰る時は台所から入って、ナベの中にかくれてろってね」
お百姓さんとおかみさんは目をまるくして、ふしぎなことがあるものだと、顔を見あわせました。
「これはきっと、神さまのしわざにちがいない。カボチャをすぐに畑にかえしてこよう」
お百姓さんがカボチャを畑にもどすと、つぎの年からは、ビックリするほどたくさんのカボチャがとれました。
お百姓さんはカボチャを売って、大金持ちになったということです。
おしまい
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