心がジーンとする 世界の感動話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 世界の感動話 > 月の中のウサギ
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 世界の感動話 (全30話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
 


世界の感動話 第9話

月の中のウサギ
イラスト Smile STATION

月の中のウサギ
ジャータカ物語 → ジャータカ物語の詳細

 むかしむかし、ウサギには三匹の友だちがいました。
 サルと、山イヌと、カワウソです。
 ある日の事、ウサギはふと、明日が精進日(しょうじんび)である事に気がつきました。
 精進日というのは、仏さまの教えを守って身を清め、困っている人にほどこしをする日の事です。
「明日、困っている人がきたら、せいいっぱい助けてあげよう」
 みんなはウサギの意見に賛成して、家に帰りました。
 次の日の朝、カワウソは食ベ物を探しに、ガンジス川の岸までおりていきました。
 ちょうどその時、一人の漁師が七匹のコイをつかまえて草の中にかくし、もっと下の方へと出かけていったあとでした。
「おや? この魚は、だれの物だい? 持っていくよ」
 カワウソは三ベんよんでみましたが、返事がありません。
 そこで、だまってもらってくる事にしました。
 山イヌも、食ベ物を探しにいきました。
 山道を進んでいると、畑の番人の小屋から、肉や牛乳のにおいが流れてきます。
「おや? この食ベ物は、だれの物だい? 持っていくよ」
 山イヌは三ベんよんでみましたが、だれも現れません。
 そこでやっぱり、もらっていく事にしました。
 サルも森へいって、マンゴーの実をたくさん集めてきました。
 ところがウサギは、何も見つける事ができませんでした。
 貧乏なので、家にはゴマも米も、何もありません。
「どうしよう、せっかくの精進日なのに。・・・そうだ、もしだれかが食ベ物をもらいにきたら、わたしはその人に自分の肉をあげよう」
 さて、このウサギたちの事を知った天上に住む神さまは、みんなの心をためしてやろうと思いました。
 そこで神さまはお坊さんに姿を変えて、まずカワウソの家にやってきました。
 するとカワウソは、
「さあ、お坊さま。今日は精進日です。どんどんめしあがってください」
と、コイ料理をすすめました。
 次に訪ねた山イヌの家では、畑の番人のところからとってきた肉や牛乳を出されました。
 そして次に訪ねたサルの家では、マンゴーと冷たい水を出されました。
 そして最後にウサギの家に行くと、ウサギはお坊さんに言いました。
「今日は精進日です。ほどこしをしたくて、あちこちかけ回ったのですが、ごちそうは手に入りませんでした。そこで今日は、わたしを召し上がってください。けれど、お坊さまであるあなたがわたしを殺してしまえば、いましめを破ることになります。そこですみませんが、火をおこしてください。そうしたら、わたしは自分で火の中に飛びこみましょう。焼けた頃に取り出して、召し上がってください」
 神さまが火をおこすと、ウサギは火の中へ飛びこみました。
 ところが火の中へ身を投げたというのに、ウサギはやけどひとつしません。
「あれ? おかしいな」
 ふしぎがるウサギに、神さまがいいました。
「信仰心(しんこうしん)のあつい、かしこいウサギよ。おまえの徳(とく→よい行い)が、のちの世の人にかたりつがれるよう、記念をしておこう」
 神さまはそういって、大きな山をつぶし、そのしぼった汁で、月の表面にウサギをえがきました。
 その時から、月にはウサギの姿が浮かぶようになったという事です。

※ 日本にも、同じようなお話しがあります。 → お月さまに行ったウサギ

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診