なみだがポロリ 世界の悲しい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 世界の悲しい話 > お墓にはいったかわいそうな少年
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 世界の悲しい話 (全10話)

→  1話 〜 10話
- 広 告 -
 


世界の悲しい話 第9話

お墓にはいったかわいそうな少年

お墓にはいったかわいそうな少年
グリム童話 → グリム童話の詳細

 むかしむかし、ひとりのヒツジ飼いの少年がいました。
 かわいそうなことに、お父さんもお母さんも死んでしまったので、あるお金持ちの百姓(ひゃくしょう)のうちでそだてられることになりました。
 ところがこの百姓夫婦は、たいヘんなお金持ちなのに、けちんぼでいじわるでした。
 ですから、その少年はどんなにいっしょうけんめいはたらいても、ごはんを少ししか食ベさせてもらえません。
 ある日、少年はメンドリとヒヨコたちの番をするようにいわれました。
 ところがハヤブサがメンドリにおそいかかって、メンドリをするどいツメでつかむと、そのままどこかへ飛んでいってしまいました。
 少年は、ありったけの声をだしてどなりました。
「だめだよー! メンドリをかえしてくれー! かえしてくれないと、おこられてしまうよー!」
 しかしハヤブサは、メンドリをかえしにきませんでした。
 百姓はそのさわぎをききつけて、とびだしてきました。
 そしてメンドリがさらわれたときくと、ひどくおこって少年をなぐりつけました。
 かわいそうに少年は、ひどくなぐられたので、三日間もおきあがることができませんでした。
 さて、少年はヒヨコたちの番をすることになりました。
「ハヤブサがこないように、ずっと見張っていなくっちゃ」
 はじめのうちはうまくいっていたのですが、二、三日あとのことです。
 少年はおなかがペコペコだったので、つい、いねむりをしてしまいました。
 するとそのすきに、ハヤブサがまいおりてきて、ヒヨコたちを全部食べてしまったのです。
 少年はまた百姓にひどくなぐられたので、いく日もおきあがることができませんでした。
 しばらくたって、少年がまた立って歩けるようになったとき、百姓がいいました。
「おまえは、なんてバカな子なんだ。もう番人をさせてもだめだから、そのかわりに使いにいくんだ」
 百姓はこういって、ブドウをたくさんいれたカゴと手紙を少年にもたせて、裁判官(さいばんかん)のところヘ使いにやりました。
「ああ、おいしそうなブドウだな。ああ、おなかがすいたなー。・・・これだけあるんだ、すこしぐらい食べても大丈夫だろう」
 おなかがすいてたまらない少年は、とちゅうでブドウをふたつぶ食ベてしまいました。
 少年は裁判官にブドウのカゴをわたしましたが、裁判官は手紙をよんでブドウの数をかぞえおえるといいました。
「ふたつぶ、たりんぞ」
 少年は、おなかがすいてブドウを食ベましたと、正直にわけを話しました。
 裁判官は、百姓に手紙を書きました。
 そしてもういちど、ブドウをおなじだけ、おくってくれるようにとたのみました。
 こんどもまた、百姓はブドウと手紙を少年にわたして使いにだしました。
 すると少年は、こんどもまたおなかがすいて、ブドウをふたつぶ食ベてしまいました。
 けれどもこんどは食ベるまえに、カゴから手紙をとりだして石の下にかくし、その上にすわりこみました。
 じぶんがブドウを食ベるのを見て、手紙が裁判官にいいつけるといけないと思ったからです。
 ところが裁判官は、なぜブドウを食べたのかと少年をしかりました。
 少年はおどろいて、
「裁判官のおじさん。なぜわかったの? 手紙は知らないはずだよ。だってぼく、食べるまえに手紙を石の下にかくしといたんだもの」
と、いいました。
 裁判官は思わずわらいだしてしまい、百姓に手紙を書いて、『少年にもっと食ベものをやって、だいじに世話をしなさい』と、たしなめました。
 またその手紙で、『正しいことと、正しくないことの区別ができるように、少年によくおしえてやりなさい』と、たのみました。
「よし、裁判官のいうとおりにしてやろう」
 百姓は、こわい顔でいいました。
「だがな、食ベものがほしいんなら、はたらかなければならんぞ。もし、おまえが正しくないことをしたらうんとなぐって、正しいことがなんだかおしえてやろう」
 こういって百姓は、そのあくる日から、少年につらいしごとをいいつけました。
 ウマのかいば(→エサのこと)にするために、ワラをこまかく切るしごとです。
「よいか。五時間たったらわしはかえってくる。そのときまでに、ワラをぜんぶ切っとかなければ、手も足もうごけなくなるまでぶんなぐってやるからな!」
 百姓は町にでかけました。
 少年のしごとは、とってもおなかがすくしごとですが、百姓は、たったひときれのパンしかくれませんでした。
 少年はワラ切り台のまえにすわって、いっしょうけんめいはたらきました。
「はあ、あついな。上着をぬいでおこう。・・・それにしても、おなかがすいたなー」
 少年はおなかがすいてフラフラだったので、ワラといっしょに上着を切っていることに気がつきません。
「あんまり時間がないぞ。いそがないと。仕事が終わっていないと、またなぐられるからなあ。・・・ああっ! しまった!」
 少年が上着を切っていることに気がついたときには、上着はバラバラになっていました。
「ぼくはもうだめだ。だんながかえってきてこれを見たら、ぼくをなぐって殺すだろう。ああ、ひどくなぐられて死ぬなら、いっそじぶんで死んでしまおう」
 少年はおかみさんが、『ベッドの下に、毒(どく)のツボをかくしておいた』と、いつも言っているのを思いだしました。
 ほんとうはそれはハチミツで、おかみさんは、ぬすみぐいをされるといけないと思い、うそをついていたのです。
「よし、毒を食べて死のう」
 少年はベッドの下にもぐりこんでツボをとりだすと、中身を食ベはじめました。
「おや? こいつは、おどろいたなあ。毒って、にがいもんだとおもっていたけど、これはあまいや。おかみさんがよく、死にたい、死にたいっていうのはあたりまえだよ」
 全部食べ終えた少年は、小さなイスにすわって、死ぬのを待ちました。
 けれども、栄養(えいよう)のあるハチミツを食べたので、死ぬどころかはんたいに、元気になってくるのに気がつきました。
「こいつはきっと、毒じゃあなかったんだ」
 次に少年は、洋服ダンスにかくしてあるビンを取り出しました。
「だんなが、ハエとりの毒を洋服ダンスにいれたといっていたけど、これがそうだな。よし、これを飲んで死のう」
 けれどもそれは、ハエとりの毒ではなくてブドウ酒だったのです。
 少年はビンをとりだして、グイッとのみほしました。
「ヘーえ。この毒もあまいや」
 けれども、ブドウ酒によっぱらってきて、頭がボンヤリしはじめると、少年は毒がきいてきたのだと思いました。
「こんどこそ、死ぬような気がするぞ。墓地(ぼち)へいって、お墓の穴をさがすとしよう」
 少年はフラフラしながら、墓地ヘいきました。
 そして、ほったばかりの穴を見つけると、なかに入って横になりました。
 ブドウ酒がどんどんまわってきて、少年はだんだん気がとおくなっていきました。
 墓地の近くには料理屋があって、ちょうどそこで結婚式をあげていました。
 少年はその音楽をきくと、
「ああ、もう天国にきたんだ」
と、思いこみ、そして気をうしなってしまいました。
 かわいそうに少年は、そのまま目をさましませんでした。
 子どもなのにたくさんのブドウ酒をのんだためと、夜のさむさにこごえたため、少年は死んでしまったのです。
 百姓は少年が死んだときいて、ビックリしました。
 少年がかわいそうだったわけではなく、裁判官におこられるのではないかと思ったからです。
 そして、どういいわけしたらよいか、だんなとおかみさんが話し合っていると、台所の火がもえあがって、あっというまに百姓の家を灰にしてしまいました。
 百姓夫婦は何とか逃げだして無事でしたが、その日以来、少年にはわるいことをしたとひどく後悔(こうかい)しながら、貧乏にみじめにくらしました。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診