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        世界のこわい話 第6話 
         
          
         
悪魔の花よめにされた娘 
ロシアの昔話 → ロシアの国情報 
       むかしむかし、ロシアのある村に、アコーデオンをひくのがとてもうまい男がいて、村の祭りや婚礼(こんれい)には、なくてはならない存在(そんざい)でした。 
   この男がアコーデオンをひきはじめると、村人たちはみんなおどりだします。 
   あるとき、この男が森の中をあるいていると、となり村の顔見知りの男が馬車(ばしゃ)にのってやってきました。 
   男はアコーデオンひきの顔をみるなり、うれしそうにさけびます。 
  「ちょうどいいところでであったわい! ちょっとうちの村へきてくれないか? 婚礼があるんだが、アコーデオンひきがいないんで、おまえをむかえにきたんだ」 
   男はそういうと、アコーデオンひきを馬車にのせて、自分の村へつれていきました。 
   婚礼があるという家につくと、もう客たちがあつまっていて、花嫁をまっています。 
   しばらくして花嫁がとうちゃくし、客たちのまえにつれてこられました。 
   アコーデオンひきは花よめをひと日みて、おやっ? とおもいました。 
  「これは、うちの村のアーニャじゃないか! 嫁いりするなんて話はきいてなかったが。それにしても、どうしてあんなに首がかたむいているんだろう」 
   なんだかへんだとはおもいましたが、じきに婚礼がはじまったので、だまっていました。 
   そのうち酒もりになり、男がアコーデオンをひきはじめると、いつものようににぎやかな歌とおどりがはじまりました。 
   たてつづけに何曲かひき、くたびれたのでひと休みすることにしました。 
   手にあせをかいていたので、すぐよこにぶらさがっていたカーテンで、なにげなく手をふくと、その瞬間(しゅんかん)に目のまえのものがパッときえたのです。 
   気がつくと、アコーデオンひきは森の中の沼のほとりに、一人ポツンとたっていました。 
   目のまえには大きな切り株があって、その上に馬フンがいくつもならんでいます。 
   さっきまでここにテーブルがあって、おいしそうなごちそうがいっぱいならんでいたのですが。 
   男は目をこすって、もう一度たしかめましたが、やっぱり馬フンでした。 
  「これは悪魔(あくま)どものしわざだ! 悪魔がとなり村の人たちにばけていたんだ!」 
   アコーデオンひきはころげるように、自分の村へにげかえりました。 
   家にもどると、奥さんがいいました。 
  「ねえあなた、アーニャって娘のことしってるでしょう? あの子ったらかわいそうに、きょう納屋(なや)で首をつって死んだんだって!」 
  「・・・!」 
   奥さんの話をきいて、男はビックリ。 
  (あの娘は、やっぱりアーニャだったんだ。そして、悪魔の花よめにされたんだ) 
   むかしは、自分で自分の命をたった人は、墓地(ぼち)には埋葬(まいそう)してもらえず、どこか人目につかないところにすてられたのでした。 
   そういう人は天国へいけず、悪魔のところへつれていかれます。 
   そして、本当なら生きられたのこりの年月がおわるまで、悪魔のところではたらかされるのです。 
   また、アーニャのようにわかい娘なら、悪魔の花よめにされるんだそうです。 
      おしまい 
         
         
        
       
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