ふくむすめどうわしゅう(Hukumusume fairy tale collection) > がいこくご(Foreign language)
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イラスト たつよ 提供 らくがきの日常
どくろをかついで
Skull Bearer
(いっきゅう ばなし)
(Ikkyu Story)
ほんやく(Translation) ハンター ローレンス(Laurence Hunter)
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むかしむかし、いっきゅうさん と いう、とんち で ひょうばん の こぞうさん が いました。
Once upon a time, there lived a well known priest apprentice boy named Ikkyu.
その いっきゅうさん が、おとな に なった ころ の おはなし です。
It was around the time when Ikkyu had grown up to be a man.
「あけまして、おめでとうございます」
"Happy new year "
「ことし も どうぞ、よろしく おねがいします」
"May this year also bring you the best of luck ."
と、ひとびと が、あいさつ を かわしている おしょうがつ の あさ。
People were greeting each other on one New Years day morning.
はつもうで で にぎわう まちどおり を、きたない みなり の ぼうさん が ひとり やってきました。
In the center of town, while everyone was making their first visit of the year to the shrine, a very dirty looking priest came walking down the road.
いっきゅうさん です。
It was Ikkyu!
しかし どうした こと か、ながい たけざお いっぽん を、たかだか と かついで いるのです。
But, what a strange sight. On his shoulder he was carrying a long bamboo pole high up in the air.
そして その さきっぽ に、なにやら しろいもの が くっついています。
And what’s more, there was something white stuck to the end of the bamboo pole.
「なんだい、あれは?」
"What in heavens name is that?"
よくよくみると、それは どくろ でした。
If you were to look very carefully you could see that it was a skull.
ひとびと は、きみわるい どくろ を みあげて びっくり。
Everyone looked up and were very surprised to see such a hideous skull on the end of the pole.
「しょうがつ そうそう、なんと わるふざけ を する ぼうず だ」
"Why, its a priest .come to play tricks on us in the New Year. "
「いっきゅうさん は、あたま でも おかしく なったのか?」
"Or has Ikkyu really lost his mind?"
と、くちぐち に さわぎました。
Everyone started to discuss this noisily together.
けれども いっきゅうさん は そんな ことば を まったく き に せず、すました かお で どくろ を かついで あるいています。
However, Ikkyu seemed totally unfazed by what they were saying and just walked on by.
ものずきな ひとたち は、いっきゅうさん の うしろ から ワイワイ と ついてきました。
A few curious people excitedly started off behind Ikkyu.
やがて いっきゅうさん は まち で いちばん の おかねもち の かなやきゅうべえさん の りっぱな いえ の まえ に たつ と、みみ が いたく なるほど の おおごえ で、
Finally, Ikkyu reached the house of the richest man in the village who goes by the name of Kyuei Kaneya, stood outside his door and shouted at the top of his lungs.
「たのもう、たのもう。いっきゅう が、しょうがつ の あいさつ に まいりました!」
"I beg to ask you a favor. It is I, Ikkyu, come to greet you on this New Years Day! "
と、いいました。
Shouted Ikkyu.
いえ の なか から ひと が でて みると、
Someone then came out of the house,
きたない みなり の いっきゅうさん が きみ の わるい どくろ を つけた たけざお を つきたてて いるので こし を ぬかさん ばかり に おどろき、
As Ikkyu was standing there so dirty and with a skull stuck on the end of the pole, The person of the house was struck with terrible fear.
おおあわて で いえ の しゅじん に しらせました。
The person hurriedly ran back into the house to tell the head of the household.
いつも うやまっている いっきゅうさん が わざわざ あいさつ に やってきた と きき、しゅじん は いそいで でてきました。
Upon hearing that the respectful Ikkyu had come all the way to pay his respects to the head of the house Mr. Kaneya, he hurriedly ran out of the house.
「やあ、これはこれは、きゅうべえさん。あけまして おめでとう」
"Why if it isn’t Kyuei, my friend.Happy New Year." Said Ikkyu.
「いっきゅうさん。これは どうも、ごていねいに。ことしも、どうぞ よろしく」
"Ikkyu. Why, how kind of you to come, thank you.I hope that this year will also treat you kindly.
あいさつ を して、ヒョイ と たけざお の さき の どくろ を みた とたん、
But as soon as Kyuei noticed the skull on the end of the pole he jumped back in astonishment.
「あっ!」
"Good heavens"!
と、いった まま、まっさお に なりました。
Was all he could say and presently became deathly pale.
「も、もし、いっきゅうさん、これは いったい、どうした こと ですか?
"Why, Ikkyu, what can this be?
しょうがつ そうそう どくろ を もってくる なんて、えんぎ が わるい にも ほど が あります!」
To bring a skull on the first day of the year brings the worst possible luck! "
おこる きゅうべえさん に、
Ikkyu then replied back to the angry Kyuei.
「わっははははははは」
"Ha ha. ha"
いっきゅうさん は、おなか を ゆすって の おおわらい です。
Ikkyu burst out into laughter.
「まあまあ、きゅうべえさん や、しょうがつ そうそう おどろかして すまん。これには わけ が あるのじゃ」
"Well well. I’m sorry to have surprised you at the start of the New Year., but there is a reason for this."
「どんな、わけ ですか?」
"what is the meaning of all this then?” Replied Kyuei.
「うむ。その まえに、わし が つくった うた を きいて ほしいがのう」
"Well. I was wondering whether you like to hear a song I have composed“.
いっきゅうさん は、こえ たからか に うた を よみあげました。
Then Ikkyu proceeded to sing aloud his song.
♪しょうがつ は、めいど の たび の いちりづか
♪ New Year is a milepost in our lifelong journey to the other world.
♪めでたくも あり、めでたくも なし
♪ A time to celebrate a time to mourn
いっきゅうさん の うた に、きゅうべえさん は くび を かしげました。
Upon hearing Ikkyus strange song, Kyuei tilled his head from left to right in bewilderment.
「はて、『めでたくも あり、めでたくも なし』とは?
"I wonder, A time to celebrate a time to mourn. What does it mean"?
いっきゅうさん、これは どういう いみ でしょうか?」
What does it all mean Ikkyu? "
「うむ。
"Well.
だれでも しょうがつ が くると、ひとつずつ とし を とる。
Every time a new year is welcomed in, another year of life is taken away from our us.
と いうことは、しょうがつ が くる たび に、それだけ めいど へ ちかづく。
So that means that every time New Year approaches, we get closer to our destiny with the other world.
つまり、し に ちかづく わけだ。
That means we will be getting closer to death.
だから しょうがつ が きた と いって、めでたがっても いられない。
Therefore, when New Year comes it is also a time for mourning.
それで、『めでたくも あり、めでたくも なし』じゃよ」
So, that’s why it is a time for celebration and a time for mourning ".
「ああ、なるほど」
"Ah, now I see. "
「どんな ひと でも、かならず いつか は しぬ。
"No matter who you are, someday you will die.
そして、このような どくろ に なりはてる。
You will become like this skull here.
こういう わたし だって、あと なんかい しょうがつ を むかえられるか わからん。
We do not know how many New Years we will be able to welcome in again.
あんた も、おなじ じゃよ」
The same goes for you "
「はい。たしかに」
"Yes…That is true ".
「きゅうべえさん や、いきている うちに、たんと いいこと を しなされや。
"Kyuei, while you are alive, please make the most of your life.
そうすりゃ、ごくらく へ いかれる からの」
Then you will be able to reach paradise"
「はい!」
"Yes"!
「あんた は、おおがねもち だ。
"You are a very rich man.
すこし で いいから、あまっている おかね は こまっている ひとたち に あげなされ。
Even if it is only a little bit, please give your left over money to people who are having difficulties.
めいど まで は、おかね は もって いけん からな。
Since you cannot bring your money with you into the other world.
はい、さいなら」
That is all, goodbye."
おおがねもち の きゅうべえさん を はじめ、ほか の おおぜい の おかねもち が この いっきゅうさん の おしえ を まもって、まずしい ひとびと を たすけた と いうことです。
From then on starting with Kyuei, other rich people then decided to follow Ikkyus example and started to help the poor in need.
おしまい
The end
One piece of advice: Nothing in life is forever, make the most of what you have.
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