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ふくむすめどうわしゅう(Hukumusume fairy tale collection) > がいこくご(Foreign language)
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しゅ の ばん の ばけもの
Shunoban Monster
(にほんのむかしばなし)
(Japanese classical stories)
ほんやく(Translation) ちいさな翻訳屋さん
にほんご(Japanese) ←→ にほんご(Japanese) & えいご(English) ←→ えいご(English)
むかしむかし、たび の さむらい が ひとり、むらはずれ の さみしい のはら に さしかかりました。
Once upon a time, there was a traveling samurai walking into a deserted grass field in the suburb of a villege.
この あたり には、『しゅ の ばん』と よばれる ようかい が でる との うわさ です。
There was a tumor that a monster called Shunoban lived around this area.
「ああ、ひ は くれてくるし、こころぼそい なあ。ばけもの に あわねば よいが」
“Oh, the sun is setting. I feel lonely. I hope I won’t run into a monster.”
さむらい が あし を はやめる と、
When the samurai hurried his steps,
「しばらく、おまち くださらんか」
“Could you wait up for me?”
と、うしろ から、よびとめる もの が います。
somebody called from behind.
さむらい が おそるおそる ふりかえる と、そこ に いたのは じぶん と おなじ ような たび の さむらい でした。
When the samurai carefully looked back, there was a samurai who was traveling like himself.
あみがさ を かぶって いる ので かお は わかりません が、さむらい に まちがい ありません。
It was hard to recognize his face because he was wearing a hat made of braided straw but he definitely looked like a samurai.
「さしつかえ なければ、ごいっしょ ねがいたい のですが」
“If you don’t mind, could I go with you?”
「そうですか。じつ は わし も みちづれ が ほしかった のです。
“Sure. In fact, I wanted a company myself too.”
この あたり には『しゅ の ばん』 とか いう ばけもの が でる との うわさ ですから。・・・きいた こと が ありませんか?」
Rumor has it that there is a monster called Shunoban around here. Haven’t you ever heard of it?”
すると、あと から きた さむらい が、
Then the other samurai said,
「ああ、きいた こと が ありますよ。
“Yes, I’ve heard of it.
なんでも それは、こんな ばけもの だそうで」
I heard it’s a monster like this.”
と、いって、かぶっていた あみがさ を、パッ と とりました。
Then he suddenly took off his hat.
すると そこから あらわれた のは、ごばん の ように かくばって いる、しゅ に そまった、まっかな かお で、
What appeared there was a red square face
かみのけ は まるで はりがね の ように ごつごつ しており、おおきな くち は みみ まで さけています。
and the hair was wiry and the big mouth was slashed to its ears.
そして ひたい には、つの が はえて いました。
And there was a horn growing from its forehead.
これは まさしく、しゅ の ばん の ばけもの です。
This is the Shunoban monster for sure.
さむらい は、
The samurai said,
「うーん!」 “Mmm…”
と、め を まわして、きぜつ してしまいました。
and then he passed out.
そして しばらく してから、はっ と われ に かえった さむらい は、むがむちゅう で のはら を かけぬけて いき、
Later on, the samurai came to senses and ran feverishly through the grass field
やがて みえてきた いえ に とびこみました。
and he found a house and rushed in there.
「おたのみ もうします!」
“Hello?”
すると その いえ には、おかみさん が ひとり いるだけでした。
There was only a housewife in the house.
「まあまあ、いかがなされた の ですか?」
“Well, what’s the matter?”
「まず は みず を いっぱい、のませて いただきたい」
“Could I have a glass of water?”
「はい、ただいま さしあげますよ」
“Sure. I’ll get you right away.”
おかみさん は だいどころ の みずがめ の ひしゃく を とって、さむらい に わたしました。
The housewife took a ladle out of the water jar in the kitchen and handed it to the samurai.
いっき に それ を のんだ さむらい は、おかみさん に はなしました。
The samurai drank down the water and told the housewife what happened to him,
「じつ は、のはら で みちづれ が できた と おもったら、しゅ の ばん の ばけもの だったのです」
“I thought I got a company in the grass field but it turned out to be Shunoban monster.”
「おや、それは おそろしい もの に あいましたね。
“Oh, dear. What a horrible monster you met.
しゅ の ばん に あうと、たましい を ぬかれる と いいますから。
It is said that if you met Shunoban, your soul might be taken.
・・・して、その しゅ の ばん と いう のは、もしや、こんな かお では ありません でしたか?」
By any chance, did Shunoban look like this?”
おかみさん は、ひょいっ と かお を あげました。
The housewife suddenly raised her head.
そこに あった のは、しゅ に そまった しかくい かお に、みみ まで さけた くち に、はりがね の ような かみのけ に、ひたい の つの です。
What appeared there was a red square face with the mouth slashed to the ears, wiry hair, and a horn from the forehead.
「うーん!」 “Mmm…”
さむらい は、またまた きぜつ してしまい、つぎ の ひ に なって われ に かえりましたが、
The samurai passed out again and came to his senses the next day,
しゅ の ばん に たましい を ぬかれた のか、みっかご に しんで しまった と いうことです。
but unfortunately, he was said to be dead probably because his soul was taken by Shunoban.
おしまい
The end
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