てんし
むかしむかし、てんし が しろいはね を ひろげながら、これから かみさま の ところ へ いく おんなのこ に はなして きかせました。 「いいですか。 そして、そのこ が いちばん すきだった ところ へ つれていって、いっしょ に はな を あつめるのです。 そういって てんし は、おんなのこ と いっしょ に おんなのこ が いちばん すきだった こきょう の はなぞの へ とんでいきました。 「さあ、どの はな を もっていくのですか?」 てんし が みてみる と いっぽん の えだ が おれていて、ひらきかけた つぼみ が ひからびて いたのです。 「かわいそうに。では、かみさま の ところ で はな が さきますように」 てんし は、にっこりして その はな を とりました。 それから ふたり は、きれいな はな を たくさん つみました。
その くらい みちばた には、がらくた が やま の ように つんであります。 てんし は その がらくた に ある うえきばち の かけら に はいった、ひからびた ののはな を ゆびさしました。 「あれも、もっていきましょうね。そのわけ は、とびながら はなしてあげますよ」 「さっき の まち の せまい ちかしつ には、びょうき の こ が いました。 その こ の あそび と いったら、おひさま が さんじゅっぷん ぐらい さしこむ まど から、ひかり に て を かざしてみる ぐらい の ものでした。 その こ が はじめて はる の もり を しった のは、となりのこ が もってきてくれた みどり の えだ を みた ときです。 その えだ を あたま の うえ に もっていく と、ことり が いっぱい さえずっている もり の なか に いるような き が したのです」 おんなのこ は、てんし の かお を のぞきこみました。 てんし は おんなのこ に、やさしく ほほえみました。 「それから、となり の こ は ののはな を もってきてくれました。 その はな には ね が ついていた ので、びょうき の こ は うえきばち に うえて たいせつ に せわ を しました。 おかげ で はな は すくすく と そだって、まいとし さく よう に なり、その こ の たからもの に なったのです。 だって、はな は その こ の ため だけ に きれい に さいて、いい かおり を ふりまいていたんですもの」 てんし は、おおきく はばたきました。 その はな は わすれられて、ひからびて、すてられて しまったのです。 だから この はなは 、どんな に りっぱな にわ の はな より も、ずっと すてきなのですよ」 はなし を きいた おんなのこ は、てんし に たずねました。 「それはね。わたし が、その びょうき の こども だったのですよ」 ちょうど そのとき、ふたり は かみさま の くに に つきました。 かみさま は ひからびた ののはな に キス を して、こえ を あたえて くれました。 それから かみさま は、やさしく おんなのこ を むね に だいて いいました。 「よく きたね。これから は、きみ が しんだ こどもたち を ここ へ つれて くるのだよ」 「えっ? わたしが?」 き が つく と、かみさま に だかれた おんなのこ の せなか には、ちいさな まっしろい はね が はえていました。 おんなのこ は、てんし に なったのです。 おしまい |
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