11月18日のイソップ童話
アルキュオン
アルキュオンは伝説の鳥で、なかまをつくらず、ひとりぼっちで海に浮いているのが好きだといわれています。
いいつたえでは、この鳥は人間につかまらないように、岸の岩のかげに巣を作るとのことです。
あるとき、一羽のアルキュオンがタマゴをうむために、岬にのぼってきました。
見ると、大きな岩が海の方へつきでています。
アルキュオンはその岩かげに巣を作り、タマゴをかえしました。
ところがある日、お母さんアルキュオンがエサをさがしているあいだに、とつぜんはげしい風が高波を巻き起こしました。
波は巣のところまでおしよせ、巣を水でおおいつくして、ひな鳥たちをおぼれ死にさせてしまいました。
お母さんアルキュオンはかえってきて、るすちゅうのおそろしいできごとを知ると、こうさけびました。
「ああ、なんてわたしは不幸なのだろう。陸はあぶないけれど、海なら安全だと思って海をすみかにしているのに、その海が陸よりもひどいうらぎりをするなんて」
これと同じように、人間でも敵をけいかいするあまり、味方のように見えるけれども、じつは敵よりもずっとおそろしい人に助けを求めてしまうことがあるのです。
おしまい
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