2月19日の日本の昔話
ふたをとらず
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん→詳細)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
ある日のこと。
お金持ちの加平(かへい)さんがごちそうしましょうと、一休さんを家に呼びました。
いってみると、おぜんにはたくさんのごちそうが並んでいます。
「いただきます」
と、一休さんがはしを持ったときです。
「そのおわんは、ふたを取らないで食べて下さい」
と、加平さんが言いました。
一休さんはしかたなく、他のごちそうだけを食べていきました。
でも加平さんは、そばによってきて、
「そのおわんには、ほんとうにおいしいお汁が入っています。ぜひ、めし上がって下さい」
と、しつこくいいます。
すると一休さんが言いました。
「お汁が冷めてしまいました。おわんのふたを取らないで、あたたかい物と取りかえて下さい」
「・・・・・・」
おわんのふたを取らずに、お汁を変えることは出来ません。
加平さんは、
「いや、これはまいりました。うわさどおりのとんちの持ち主ですなあ」
と、言って、一休さんに頭を下げました。
このことがみんなに知れわたり、一休さんのとんちは、ますます評判(ひょうばん)になりました。
おしまい
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