4月3日の日本の昔話
はんごろしと、みなごろし
むかしむかし、あまさん(ほとけのみちにつかえる女の人)が、たびをしていると、日がくれてしまいました。
そこで、ある家にとめてもらうことにしました。
「さあ、どうぞ」
家の夫婦(ふうふ)は、ありあわせのもので、ばんごはんをつくって、あまさんをもてなしてくれました。
ところがそのばん、夫婦はあまさんをねかせると、夜遅くまでヒソヒソ話しをつづけました。
「あしたは、どうするか?」
「はんごろしにするか?」
「いいえ、みなごろしのほうがよいのでは」
「そうだなあ、やっぱり、みなごろしのほうがよさそうじゃのう」
「そうそう、みなごろしにしましょう」
このやりとりをきいたあまさんは、ビックリ。
「ここにねていたのでは、ころされてしまう」
と、にもつをまとめて、よなかにコッソリとにげだしてしまいました。
つぎの朝、夫婦はあまさんがいないことにきがついて、
「あーあ、ゆうべおそくまで、なにをごちそうしようかとそうだんして、みなごろしをつくろうとおもったのに」
ガッカリしてしまいました。
あまさんは知りませんでしたが、この地方では、
『はんごろし』とは、ぼたもちのこと。
『みなごろし』は、よくついたもちのことだったのです。
おしまい
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