6月28日の日本の昔話
イモころがし
むかしむかし、ある村の金持ちの家で、法事(ほうじ)がありました。
法事には、村中の家が呼ばれました。
さて、法事には立派な膳(ぜん→ごちそう)が出るという話をうわさに聞いた村の人たちは、そんな立派な膳に呼ばれたときの作法(さほう→マナー)を知らず、どうしたらよいか途方にくれていました。
そこで、村の人たちは、村一番の物知りおじいさんのところへ相談に行きました。
「なんじゃ。そんなこたあ、心配せんでよい。みんなわしの真似をすりゃあええのじゃ」
おじいさんがそういってくれたので、みんなは安心して、法事に呼ばれていきました。
さてさて、話の通り、座敷には今までに見たことのないほど立派な料理が並べられております。
村の人たちがおじいさんを見ていると、おじいさんはまず、お汁を飲みました。
それを見て、みんないっせいにお汁を飲みます。
次におじいさんが少しばかりご飯を食べると、みんなも、すぐにおじいさんの真似をしました。
ところが、おじいさんがお皿のサトイモをはしで取ろうとしたとき、おじいさんの手もとがくるい、イモはツルリッと皿から飛び出し、畳(たたみ)の上をころがりました。
おじいさんは大あわてで、転んだイモをはしでひろって食べますと、それを見ていた村の人たちもおじいさんのまねをして、次から次へとイモをころがし始めたではありませんか。
これには、物知りおじいさんもビックリ。
恥ずかしくなって、こっそりと座敷を出ていってしまいました。
すると、みんなもいっしょに、出ていってしまいました。
おしまい
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