きょうの江戸小話
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2月5日の小話

かげぐち

かげぐち

 料理屋ではたらいている権助(ごんすけ)が、表で、薪(まき)をわっておりました。
 そこに、同じ村から、いっしょに出かせぎに来ている男がやって来て、
「権助どん、どうだね? この店は。おいしい物を食べさせてくれるかね?」
と、声をかけました。
「まあ、きいておくれよ。人使いはあらいし、その上、とんでもないけちな店なのさ。第一、こんなにお米の安い時なのに、朝も昼もおかゆで、晩が雑炊(ぞうすい→野菜などをきざみこんだおかゆ)だ。これが毎日続くのだから、たまったもんじゃないよ。すぐに腹ペコになるので、たっぷり水でも飲んでおかないと、腹の皮が、背中にくっついてしまいそうだ」
 権助がぶつぶつ文句をいいながら、ふと、うしろを見ますと、お店のだんながこわい顔で立っておりました。
(しまった! こいつはまずいことを言ってしまったぞ!)
 内心、ヒヤリとした権助は、あわてて、
「でもな、おなかをこわす心配がないので、この店の食事は最高にいいとおもうよ」

おしまい

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